ナン1枚につき利益1元 新疆出身の若者が江西の母校へ百万元寄付

人民網日本語版 2024年01月09日10:59

母校の江西科技学院に100万元を寄付した米拉迪力さん。

母校の江西科技学院に100万元を寄付した米拉迪力さん。

新疆維吾爾(ウイグル)自治区出身の若者・米拉迪力さんはこのほど、母校である江西科技学院に100万元(1元は約20.1円)を寄付し、民族団結に関する奨学金を設立した。民族団結事業に貢献した学生や経済的に困難な学生の就学を支援することを目指すという。

羊肉の串焼きやナン(パンの一種)の販売から身を起こし、起業してからまだ10年にしかならない若者にとって、100万元は決して小さな数字ではない。ナン1枚につき利益はわずか1元しかない。10年間こつこつ真面目に働き、たくさんの苦労を経て、米拉迪力さんは今ようやくEC会社1社とウイグル族の料理を出すレストラン2軒を経営するところまでたどり着いた。

米拉迪力さんが経営するレストラン。

米拉迪力さんが経営するレストラン。

大金を拠出して奨学金を設立したのは、米拉迪力さんの学生生活や仕事の経験と切り離せない。10年前、当時20歳だった米拉迪力さんは、たった1人でリュックを背負い、スーツケースを引いて実家から4000キロメートル以上離れた江西省南昌市にやって来て、学業の傍ら起業した。わずか5000元の自己資金で、ナツメ、羊肉の串焼き、ナンの販売からスタートした。起業した当初、パートナーと共に新疆からたくさんの特産品を運んできたが、年の暮れが迫っても売り切ることができず、見かねた学校の先生がプロモーション役を買って出て売りさばくのを手伝ってくれた。2019年には大々的にビジネスを展開しようと思い、パートナーと資金をすべて使って商品を仕入れたが、新型コロナウイルス感染症が突然発生して、商品はすべてかびが生えてしまった。社会各界と母校の支援を受けて、米拉迪力さんは家賃免除の対象事業者になり、大学生起業担保融資も受けることができた。「政府と母校の支援や援助がなかったら、今の自分はなかった」と米拉迪力さんは振り返る。

しばらく前に、米拉迪力さんの店の従業員の子どもが重病で手術が必要になった。米拉迪力さんがSNSのモーメンツで従業員のカンパ募集の情報を転載すると、思いがけないことに、たくさんの母校の先生たちが関心を寄せてそっと援助をしてくれ、そのことに米拉迪力さんは心を動かされた。卒業生本人だけでなく、卒業生の会社で働く従業員にも関心を寄せてくれた母校に対し、何かの形で恩返しをしようと米拉迪力さんは決意した。

米拉迪力さんは、「奨学金を設立したのは自分の感謝の気持ちを表すための最初の一歩に過ぎない。苦労して起業し、多少なりとも成果が出た今は、社会の役に立ちたいと思っている」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2024年1月9日

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