高速列車に乗るとトンネル内でもスマホの電波が届くのはなぜ？

以前なら、列車がトンネルに入ると、携帯の電波が届かなくなっていた。しかし今では、高速列車に乗るとトンネルの中でもアンテナマークがフルに立っていることが珍しくなくなり、普通に通話ができるほか、ドラマもフリーズすることなく快適に鑑賞でき、多くのネットユーザーを満足させている。

トンネル内でも電波が届く理由は？

高速鉄道のトンネルを建設する際、通常500メートルごとに、通信キャリアの通信設備を設置するスペースが設置されている。つまりトンネル内には500メートルごとに「基地局」があるようなものだ。

「基地局」があるということは、「アンテナ」も必要になる。トンネルの壁には、漏えい同軸ケーブルが架設され、トンネル内にある近くの「基地局」と接続されているため、それが屋外の「アンテナ」代わりとなり、電波の送受信が可能になっている。

「160秒」のために行われる4時間のメンテナンス

毎日深夜になると、電動自転車に乗った鉄道通信設備作業員数人が高速鉄道のトンネル内に姿を現す。日中にスマホのアンテナマークがフルに立つよう、通信設備のメンテンナンスを行っているのだ。

メンテンナンスで、作業員は、トンネル内の通信設備・施設、漏えい同軸ケーブルを1つ1つ丁寧にチェックし、アンテナや計器を使って、スマホのアンテナマークがフルに立つほど充分な電波が届いているかを確認していく。

河南省鄭州市と山西省太原市を結ぶ鄭太高速鉄道は太行山脈を縦断しており、その区間にはトンネルが39本ある。中でも、最も長いのは珏山トンネルで、13キロ以上にもなる。そのトンネルを1日に100本以上の列車が通過する。山々が重なり合うように連なり、地勢が険しいため、列車内に届く電波を安定させるには課題が少なくない。

春の初めは、気温が低く、湿度も高いため、トンネルの設備はトラブルを起こしやすく、電波にも影響が出る。そのため、作業員らは区間ごとに検査を実施し、電波が弱い場所を適時発見して、復旧作業を行い、電波が安定して届く状態に保ち続けている。

高速列車が珏山トンネルを通過するのに必要な時間はわずか160秒であるものの、作業員らがトンネル内でメンテナンスに要する時間は4時間にもなる。彼らは「160秒」のために、揺るぎない姿勢で自分の務めを果たし続けているのだ。（編集KN）

「人民網日本語版」2025年3月5日