玉片2498枚を金の糸でつなぎ合わせた「金縷玉衣」

人民網日本語版 2023年10月18日09:17

劉勝の金縷玉衣(河北博物院所蔵)

劉勝の金縷玉衣(河北博物院所蔵)

玉片を金の糸でつなぎ合わせ、鎧のように全身を覆った玉衣には、永遠の命を望む古代の人々の思いが込められている。「玉匣」や「玉押」とも呼ばれる「玉衣」は、漢代の死装束だ。すっぽりと全身を包む「玉衣」の玉片は、金の糸や銀の糸、銅の糸でつなぎ合わされている。なかでも金の糸を使ったものは「金縷玉衣」と呼ばれ、最高級品となる。

古代の人々は、玉石を使うと、遺体は1千年以上腐敗しないと信じていた。遡って西周(紀元前1100年頃-紀元前771年)の頃から、人々の間では埋葬の際に死者の耳や口などに玉製品を詰める風習が登場し、漢代には、遺体に「玉衣」が着せられるようになった。中国河北省で発見された満城漢墓から出土した「金縷玉衣」は、中国で初めて発見された最高規格で、保存状態が最も優れた「玉衣」だ。

「玉衣」の製作にはどれほどの手間がかかるのだろうか?

前漢の皇族・諸侯王である劉勝の墓から出土した「金縷玉衣」の長さは188センチで、頭部のかぶり物、上着、ズボン、手袋、靴という5つの部分で構成され、合わせて玉片2498枚と金の糸約1100グラムが使われている。極めて高価な材料が使われているだけでなく、その製造工程も非常に複雑だ。まず、「玉衣」は、遺体にぴったり合う大きさに仕上げなければならない。玉石は、カットし、穴を空け、美しく磨き上げるといった加工が必要で、さらに、金を叩いて板状にして、それを細くカットして、さらに撚って細い糸に仕上げ、様々な編み方を駆使して玉片を繋ぎ合わせていかなければならないのだ。専門家は、前漢の時代のこの「玉衣」は、熟練した職人が約10年かけて製作し、その費用は当時の中産階級の財産100世帯分の総和に相当するとしている。(編集KN)

中国の文化財は語る

博物館は人類文明を保護し、伝承する重要な場。博物館に所蔵されている文化財は埃をかぶった骨董品ではなく、いずれも民族の生きてきた証となる生きた伝承だ。「中国の文化財は語る」では毎回博物館に所蔵されている文化財の紹介を通じて、文化財に込められた中国の文化と精神について紹介していく。

「人民網日本語版」2023年10月18日

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