【ぶらり北京】もぐらツアー(前編)

人民網日本語版 2024年04月01日11:02

北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩いて紹介する、その名も「ぶらり北京」。今回は北京の地下をめぐる「もぐらツアー」。北京の地下鉄駅には、その駅がある場所の名物や歴史が分かる装飾がたくさんあって、それを見て回るだけでも意外と見ごたえがあります。今回はそんな「地下鉄から見る北京ツアー」に出かけてみましょう!前編では19号線の駅をご紹介します。

🎥猫なのにもぐらになっちゃった?A姐とG姐のもぐらツアー(前編)の様子はこちらの動画でどうぞ!

北京市に地下鉄が開業したのは今から53年前の1971年。昨年末時点で27路線まで増えている。今回はその中から、北京を南北に走る19号線と8号線の駅をたどってみよう。

■あなたは知ってた?北京地下鉄豆知識

地下鉄「もぐらツアー」を始める前に、まずは北京の地下鉄に関する豆知識を少し仕入れておこう。

【その一】地下鉄ロゴの3つのアルファベット

北京の地下鉄のマーク(撮影・勝又あや子)。

北京の地下鉄の出入口にあるお馴染みのマークは、3つのアルファベットを組み合わせたものだ。一番真ん中にあるのがB。「北京(Beijing)」のBだということは察しがつく。その外側がD。これが地下鉄という意味の「地鉄(Ditie)」のDであることもすぐ分かるだろう。では、一番外側にあるGの形の枠線が意味しているのは?これはなんと「公司(Gongsi)」のG!つまり、B、D、Gを合わせて「北京地鉄公司」。まさか会社名だったとは!

【その二】出入口のABCDに法則性あり

北京の地下鉄出入口はABCD(撮影・勝又あや子)。

中国の地下鉄出入口は、日本のように数字ではなく、アルファベット記号で管理されている。つまりA、B、C、D……と呼ばれているのだが、この出入口のアルファベットに法則性があることを知っているだろうか。北京の地下鉄出入口は、基本的に西北がAになっていて、そこから時計回りに東北がB、東南がC、西南がDになっている。それが何か?と思うかもしれないが、これを覚えておくと、自分がどの出口から出ればいいかを知る目安になって、意外と便利なのだ。

こんな風に覚えやすい仕組みになっているのは、北京の街が碁盤の目のような作りになっているからこそ。地下鉄の駅も交差点に作られていることが多く、出入口も東西南北に一つずつ設置されているケースが多い。ただし、すでに駅がある場所に新設された乗り換え路線ではE以降が使われていてこの限りではない。

それではいよいよ、北京地下鉄「もぐらツアー」に出発!

🚇新宮駅🚇

「もぐらツアー」のスタート地点は新宮駅。北京を南北に走る19号線の始発駅だ。かなり南にあるこの駅までわざわざ足を運んだのは、改札を入ったところの天井にアクリル素材の装飾があり、ライトの色が音楽の変化に合わせて変わるインスタレーションになっていると聞いたから。残念ながらこの日は実際に変化する様子を確認することはできなかったが、幾重にも重なった宮殿のデザインはそれだけでも十分美しかった。

宮殿のような造りの新宮駅ホーム(撮影・勝又あや子)。

新宮駅の音と光のインスタレーション(撮影・勝又あや子)。

新宮駅を後にして19号線を北上した2人の気分を一気に盛り上げてくれたのは、地下鉄車両とは思えないこんな特別車両!

19号線の特別車両(撮影・勝又あや子)。

19号線は大興空港線へ乗り継ぐ路線のため、2車両だけ通路スペースを広くとった特別車両が用意されている。なるほど、これなら大きな荷物を椅子の横に置ける。

🚇牛街駅🚇

広々とした特別車両でゆったりと向かったのは牛街駅。牛街は北京最大のムスリム街で、イスラム教の文化や習慣など少数民族の文化が色濃く残っている。

牛街駅の天井装飾(撮影・勝又あや子)。

ホームや通路の天井には、藻井(そうせい)と呼ばれる格子状の装飾がある。そこに描かれているのはザクロの花。ザクロはイスラム教ではとても重要な花で、牛街の礼拝寺にもたくさん植えられている。

牛街という名称は、牛肉を扱う商売をしている人が多かったことが由来だと言われている。その一方で、今の牛街一帯にはザクロ(石榴)がたくさん植えられていたため、「榴街(リウジエ)」と呼ばれていたが、この界隈で売られる牛肉が有名だったことから、やがて「榴(リウ)」の字がなまって「ニウ」に読み方が変わり、「牛街(ニウジエ)」と呼ばれるようになったという説もある。真偽のほどは定かではないが、ムスリム街である牛街とザクロのつながりを感じさせる説ではある。

🚇太平橋駅🚇

牛街駅からさらに北上し、次は太平橋駅で下車。お目当ては改札を出たところにあるこのそろばんだ。実際に玉を動かすこともできるのだが、壁に設置されているため、玉が落ちてきてしまうのが玉に瑕。

太平橋駅の改札の外側にあるそろばんの装飾。「算盤」は中国語でそろばんという意味(撮影・勝又あや子)

太平橋駅の装飾のテーマは「金融」。これは、近くに金融街があるからだ。この駅、計画当初はそのものズバリの「金融街駅」という名前だったそうだ。

そろばんのオブジェでひとしきり遊んだA姐とG姐は再び改札を通り、太平橋駅から平安里駅へ向かった。

🚇平安里駅🚇

平安里駅のデザインのモチーフはランタン。ホームにも通路にも天井からたくさんのランタンが下がっている。

ホームの天井から下がるランタンをモチーフにした装飾(撮影・勝又あや子)

🚇積水潭駅🚇

平安里駅からさらに北上して積水潭駅へ。駅名の由来となっている積水潭は、郭守敬が通恵河を開削した後、食糧を大運河で北方へと輸送する「漕運」の終点だった。そのため、ホームや壁画などのデザインは水運や水と関係がある。

水運と水がモチーフになった積水潭駅の壁画。なぜか象推し(撮影・勝又あや子)

積水潭駅のホームへと続くエスカレーター上にある巨大な錦鯉と水紋の装飾(撮影・勝又あや子)

🚇牡丹園駅🚇

積水潭駅からさらに北上して牡丹園駅で下車。牡丹園駅のホームには、天井に届くような形で満開の牡丹の花がデザインされており、壁画も牡丹尽くしだった。

柱や天井の装飾は牡丹の花がモチーフ(撮影・勝又あや子)

壁にも牡丹の花が満開(撮影・勝又あや子)

牡丹園駅の名前の由来は、ここに牡丹園があったから……と書きたいところだが、この地に牡丹園があったことはない。では、なぜ牡丹園という名前がついたのだろうか?その答えは、1973年、テレビを生産する北京電視機廠がここに建設され、その商品名が「牡丹」だったからなのだそうだ。

牡丹尽くしの牡丹園駅を楽しんだA姐とG姐はここで10号線に乗り換え、北土城駅へと向かった(後編に続く)。(文・勝又あや子)

「人民網日本語版」2024年4月1日

ぶらり北京

北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩き、見たり、食べたり、遊んだり?興味の向くまま、気の向くまま、北京の魅力をゆる~くお伝えしていきます。

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