浙江省の「珠出し体験」が人気に 伝統産業から無限の可能性を引き出す「Z世代」

人民網日本語版 2025年06月06日09:49

浙江省紹興市管轄下にある諸暨市の山下湖鎮でこのところ、カラス貝から真珠を取り出す「珠出し体験」が人気を集め、多くの子供連れの観光客が体験しようと同鎮を訪れている。中国新聞網が伝えた。

山下湖鎮に足を運ぶと、各地からやって来た観光客が川で船に乗ってカラス貝を採り、ワークショップに参加して貝の中から真珠を取り出す方法を学んでいた。その隣では、ジュエリーデザイナーが、取り出した真珠を加工してアクセサリーを作る方法をレクチャーしていた。ガラスのショーケースには、真珠のイヤリングやネックレスなどが、ライトに照らされて温もりのある光沢を放っていた。

「珠出し」を体験する親子(6月2日撮影・曹丹)。

「珠出し」を体験する親子(6月2日撮影・曹丹)。

上海から来たという観光客の徐新悦さんは、「ソーシャルメディアで見てぜひ体験したいと思い、子供を連れてやって来た。没入型体験は、単に買い物をするより意義がある。子供は遊びながら勉強することができ、本に書いてある知識を自分のものにすることができる」とした。

「珠出し体験」の発案者である1997年生まれの黄鉄奇さんは、実家が真珠の卸売業を営んでいるといい、デザイナーの妻と一緒に、2年前に生まれ故郷に戻って起業。卸売業を「珠出し体験 +オリジナルデザイン」というビジネススタイルへとモデル転換させた。

そんな黄さんは、「現時点で、体験業務が占める割合は当社の真珠の生産量の1%にすぎない。しかし、その利益は、卸売価格を大きく上回る。複数の学校と提携して、研学プロジェクトを実施している。若者7人が、真珠加工やデザイナーチームに加わったほか、地元の村民もこの新しい業態に参加するようになっている」と説明する。

若者と伝統産業が互いに歩み寄ることで、体験経済が中国各地で化学反応を起こしている。

浙江省杭州市清河坊歴史街区(エリア)にある100年以上の歴史を誇る中医薬の老舗「方回春堂」にある中医薬を使った香り袋作り体験コーナーでは、子供たちが石のすり鉢を使って、生薬を粉にしていた。

4歳の章高燁ちゃんは、「ラベンダー4さじ、菊の花2つ、丁香半さじ」と、レシピを読みながら、生薬を粉にしていた。また、その母親も、「以前は、中医薬はとても神秘的だと思っていたが、今は子供が自分でその重さを量り、粉にすることができ、生薬の形も覚えてしまった。この香り袋が、私たち親子が中医薬を理解するためのきっかけを作ってくれた」とした。

浙江大学管理学院の観光・ホテルマネジメント学部の葉順准教授は、「『Z世代』の起業家は、『文化解読者』として、伝統産業の無限の可能性を引き出している。また、技術革新が今、この変革を加速させている。以前なら、専門チームでないとできなかったクリエイティブデザイン、コンテンツ生産、ハンドメイドPRなどが、今では、AIツールを使って簡単にできるようになっている。テクノロジーのおかげで制作のハードルが下がっており、今後は、各地の特色ある『小規模でも素敵』な文化観光の新業態がどんどん誕生するだろう」との見方を示した。(編集KN)

「人民網日本語版」2025年6月6日

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