中国のチームが水素陰イオン電池プロトタイプ電池を開発
「ネイチャー」(Web版)は17日、中国人科学者の最新の研究成果を掲載した。中国科学院大連化学物理研究所の研究チームは新型の水素陰イオン電解質を開発し、その上で世界初の水素陰イオンプロトタイプ電池の開発に成功した。これは水素陰イオン電池が原理的概念から実験検証への飛躍を遂げたことを示している。科技日報が伝えた。
水素は将来のクリーンエネルギー体系の重要な構成要素で、通常は水素陽イオン、水素原子、水素陰イオンの3つの形態で存在する。そのうち水素陰イオンは反応活性と電子密度が高いため、大きな潜在力を備えたエネルギーキャリアだ。現在広く利用されているリチウムイオン電池と同様に、水素陰イオン電池もイオンが正極と負極の間を移動することで充放電を実現するが、その「運び屋」がリチウムイオンから水素陰イオンに変わっている点だけが異なる。
論文の連絡著者で、中国科学院大連化学物理研究所研究員の陳萍氏は、「水素陰イオン電池に関しては、高いイオン伝導性、優れた熱的および電気化学的安定性を兼ね備え、さらに電極との適合性も高い電解質材料が長らく見つからなかったため、長きにわたり、コンセプトの段階にとどまっていた」とする。
研究チームは今回の研究で革新的な設計を通じて「コアシェル構造」のプランを採用。三水素化セリウムをバリウム水素化物で包むことで、高い水素陰イオン伝導率、低い電子伝導率、高い安定性を兼ね備えた水素陰イオン電解質を開発した。チームはこの材料に基づき、水素陰イオンプロトタイプ電池の組み立てに成功した。
実験データによると、この電池の正極は初回放電容量が984mAh/gに達し、20回の充放電サイクル後でも402mAh/gの容量を維持した。チームはさらに積層電池を構築し、電圧を1.9Vまで高め、LED点灯に成功した。これにより水素陰イオン電池の電子機器への給電の実現性が実証された。
陳氏は、「水素陰イオン電池は新型エネルギー貯蔵技術ルートで、大規模エネルギー貯蔵、水素貯蔵、モバイル電源などの分野で重要な役割を果たすようになると見られている。チームは今後、水素陰イオン電池の中核材料の開発と性能の最適化に注力し、応用シーンを積極的に拡大し、中国のグリーンエネルギー発展に力強い技術サポートを提供していく」とした。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年9月19日
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