西蔵自治区羊湖ほとりの日托寺 観光産業で農牧民が豊かに

西蔵(チベット)自治区の羊卓雍錯にたたずむ日托寺(10月25日、ドローンによる撮影・江飛波)。
西蔵(チベット)自治区にある湖「羊卓雍錯(羊湖)」のほとりの東拉村で農牧業を営む列謝さんは、「日托寺は2020年頃にネットのプラットフォームで人気に火がついた。私たちの村からわずか2キロメートルほどのところにあり、ドライブ旅行で来る観光客がどんどん増えたので、2022年に民宿をやってみようと考えた」と話し、「民宿経営で、暮らし向きは大幅に改善した」とした。中国新聞網が伝えた。
羊湖は湖面の標高が4441メートルに達する、西蔵の3大「聖なる湖」の1つ。日托寺は羊湖の北東の岸から突き出た半島の上にあり、半島にはほかに何も建築物がなく、深く澄み切った青い湖面にたたずむことから、「古刹」や「孤寺」などと呼ばれ、独特の景観となっている。ここ数年はドライブ旅行の観光客から「最も孤独な寺院」と呼ばれ、絶えず人が訪れる人気スポットになった。

西蔵(チベット)自治区の羊卓雍錯のほとりにある、山南市貢嘎県東拉郷東拉村の列謝さんの自宅を利用した民宿で客室を整える女主人の益西曲珍さん(10月25日撮影・江飛波)
列謝さんは、「羊湖沿岸は半農半牧の村が多い。標高が高すぎるので、ハダカムギとアブラナくらいしか栽培できない。日托寺が人気になる前は、農牧民が収入を増やしたいと考えた場合、拉薩(ラサ)市まで出稼ぎに行くしかなかった」と振り返った。
列さんの自宅を利用した民宿は典型的な西蔵式住宅で、ツイン2部屋とドミトリーがある。窓の外は高原に耕作地が広がり、遠くには羊湖が見える。列さんは、「2023年の民宿の収入は3万元(1元は約21.4円)ほどで、2024年はその2倍になった。今年は特に忙しく、6月から10月まで部屋はほぼ満室で、収入はすでに10万元に達している」とした。
同自治区山南市貢嘎県東拉郷東拉村の関係責任者の洛桑平措さんの説明によると、「夏のピーク時期には、日托寺にやってくる自動車は毎日300~400台にもなった。日托寺の人気のおかげで、東拉村は2024年は98万元の観光収入を実現した。また農牧民の127世帯が乗馬プログラムを提供することで、1世帯あたり1万元近い収入を得ることができた」という。

西蔵(チベット)自治区の羊卓雍錯の北東岸にある東拉郷の周辺の様子(10月25日、ドローンによる撮影・江飛波)。
山南市貢嘎県東拉郷党委員会の索朗多吉書記の説明では、「東拉郷に属する6つの行政村は、いずれも羊湖の北東沿岸に分布している。郷全体で約880世帯の農牧民がおり、現在は400世帯近くが何らかの形で観光産業に従事し、観光で収入を得ている。日托寺が数年にわたりネットでの人気が続いているのは、西蔵の交通条件と観光インフラが絶えず改善され、向上していることと切り離せない」という。
索朗多吉氏はさらに、「自家用車で羊湖に行くにはいくつかのルートがあり、現在は貢嘎県甲竹林鎮方面の道路の改修工事が最終段階に入り、また東拉郷芝竜村から崗巴拉山に至るアスファルト道路もまもなく工事が終わり、これから羊湖へのドライブはもっと便利になる。今年、上級当局は吾巴拉展望台への建設投資を行っており、来年は全面的に営業をスタートし、周辺の農牧民に20~30人分の雇用を提供することになるだろう」とした。
秋も深まった羊湖には美しい景色が広がり、湖面は見る角度によってターコイズブルー、サファイヤブルー、ダークブルーなどさまざまな色に見える。午後になっても、たくさんのドライブ旅行客が次々に訪れていた。
自家用車で来たという重慶市出身の曽婷さんは、「普段は拉薩で会社勤めをしている。今年の夏、真っ先に車で羊湖の日托寺を訪れた時は、景色が非常に美しく、夜は天の川を見ることもできた。今回は湖畔を散策したり、歌を聴いたりしたいし、羊湖に日が沈む様子も見てみたい」とした。(編集KS)
「人民網日本語版」2025年10月29日
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