「千年の衣服」を現代に融合させる西安の若者たち

人民網日本語版 2025年11月18日15:44

漢服を着た人のヘアを整える王依婷さん(右)。(撮影・楊英琦)

漢服を着た人のヘアを整える王依婷さん(右)。(撮影・楊英琦)

「漢服を着てステージに上がり、『在下李白』(李白と申す)と一言セリフを口にすると、ステージ下から万雷の拍手が沸き起こった」。西安工程大学漢服研究院の呉俊強アートディレクターは、忘れられない感動のひとときとしてこのエピソードに触れ、「これは私が俳優として夢見た舞台のエンディングではなく、漢服の普及拡大の道を歩き始めるスタート地点となった」と話した。

呉さんの俳優から「漢服文化を伝える使者」への転向は、同大が2023年に漢服研究院を設立したことによるところが大きい。同研究院は大学の繊維や服装・アートデザイン分野の学科が持つ優位性をよりどころに、漢・唐時代の服飾品の研究や伝統的儀礼の復元に焦点を当てて、多くの実物の復元やデジタル化による復元のプロジェクトを成功させてきた。

一緒に漢服を着て散策する張露丹さんと同級生。(撮影・楊英琦)

一緒に漢服を着て散策する張露丹さんと同級生。(撮影・楊英琦)

こうした文化伝承を深く掘り下げる研究は、00後(2000年代生まれ)の若い呉さんを引きつけ、その活躍の場はステージ上からバックステージへと変わった。同研究院が立ち上げた漢服芸術団とファッションデザインチームには、呉さんのような青年が少なくない。

00後のファッションデザイナーの王依婷さんもその一人だ。「最初は漢服が大好きだったから服装デザインを選んだ。今では、この研究院で夢中になれることができていて、自分はなんて幸せなんだろうと思う」と王さん。

王依婷さん(中央)に漢服デザインの指導をする李夢可さん(左)。(撮影・楊英琦)

王依婷さん(中央)に漢服デザインの指導をする李夢可さん(左)。(撮影・楊英琦)

今、呉さんと王さんは、「より多くの人に漢服に関心を持ってもらう」、「より多くの人に漢服を着てもらう」ために、それぞれに探求の道を歩んでいる。呉さんは、「私たちはこれまでに招待を受けてオーストラリア、日本、カザフスタンなどで漢服の交流イベントやショーを行った。漢服デザインコンテストを開催した時には、マレーシアと米国のデザイナーから作品の応募があった。ここからわかる通り、漢服は中国国内の『同袍(同胞)』の間だけでなく、ますます多くの海外の友人たちの間でも漢服文化がより深く理解されるようになっている」と話した。

同研究院のデザインディレクターの李夢可さんは、「学生はショーの準備と漢服の制作を通じて、資料をじっくり読み込み、実践の中で伝統文化をめぐる深いアイデンティティを形成してきた。私たちは11月22日を『漢服で出かける日』とし、10年続けてイベントを開催してきた。今後、若い世代の力によって、漢服が特別な日の特別な服装でなく、日常的に着るものになり、千年以上の歴史を持つこの衣服が現代の生活に本当の意味で融合して、伝統文化の生き生きとした伝承が実現することを願っている」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2025年11月18日

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