世界初の気体—固体型水素負イオン電池が誕生 常温常圧で高効率な水素貯蔵を実現
中国科学院大連化学物理研究所の陳萍研究員率いる研究チームが、水素と金属を電極とする世界初の気体—固体型水素負イオンプロトタイプ電池を構築したことが14日、同研究所への取材で分かった。この電池は、水素を充填して放電し、充電時に水素を放出する仕組みを備え、「水素と電力の同時貯蔵」によって、常温・常圧下での高効率な水素貯蔵の原理実証を実現した。関連成果は13日付の国際学術誌「Joule」に掲載された。科技日報が伝えた。
水素負イオンは、水素の「電子過剰状態」に当たる。水素負イオンを電荷担体として利用すれば、高い反応性と高エネルギー特性を兼ね備えることが可能であり、次世代全固体電池開発の重要な方向性の一つとされている。しかし、水素負イオンは自然条件下では極めて不安定であり、科学者にとって直接電気化学エネルギー貯蔵に利用することは困難だった。
陳萍チームは2018年から水素負イオン伝導の研究を開始し、23年には新型水素負イオン電解質材料を構築。これにより、水素負イオンを低温条件下で安定的に伝導させることに成功した。さらに25年には、世界初の全固体型水素負イオンプロトタイプ電池を開発した。今回、チームはこれまでの研究成果を基に、「気体—固体型水素負イオン電池」という新たな構想を打ち出した。
研究チームは、金属マグネシウムと水素をそれぞれ負極および正極の活性物質として用い、広い温度範囲で動作可能な世界初の気体—固体型水素負イオン電池を組み立てた。この電池では、水素負イオンが高エネルギー供給を担うと同時に、電気化学的水素貯蔵と巧みに結び付けられている。放電時には、正極で水素が還元されて水素負イオンとなり、負極では金属が酸化されて陽イオンとなり、金属水素化物を形成する。充電時には、両極でそれぞれ水素分子の放出と金属の再生が行われ、充放電と同時に水素の貯蔵と放出を実現した。
研究チームは、10個の単電池を積層して直列接続した電池パックを構築し、2.4ボルトを超える出力電圧を実現。LED電球の点灯にも成功し、気体—固体型水素負イオンプロトタイプ電池の誕生を示す成果となった。エネルギー効率の分析では、この「水素・電力同時貯蔵」システムのエネルギー利用効率が93.9%に達し、従来の熱利用型水素貯蔵より3分の1高いことが確認された。
この独創的成果は、水素エネルギー利用の障害となってきた水素貯蔵という中核的技術課題の解決に向け、新たな技術的ルートを提示している。従来型水素貯蔵で必要とされる高圧などの極端な条件を克服し、新たな水素貯蔵技術の創出につながる可能性がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2026年5月15日
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