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上海静安寺の満月

 2016年02月23日15:50

作者:長澤靖浩   撮影場所:上海    

夜、上海に着いた。雲が静安寺の尖塔にかかっていた。風に雲が漂い流れると、切れ目が広がり、月が煌々と照り輝き始めた。それはまるで私の心の暗闇をも照らし出すようだった。                 

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最新コメント
雅史To 上海静安寺の満月
手前左の塔が大きく写っているので、遠近法の奥行きが生じている。よい構図だと思う。その一番遠い場所から月がすべてを照らし出している、透明感あふれる立体的な世界が表されていると感じた。
如月To 上海静安寺の満月
己が心を見つめれば、邪念や雑念が雲のように漂い流れてやまない。しかし、それに抵抗せず、静かに観つめることを続けるとき、やがて明鏡止水の境地に達する。雲の切れ間から照る月は、漣ひとつない水面のような心にくっきりと映る。写真を撮ることは、己が心を映すこと。中国が人の心に映ったのか。はたまた人の心が中国の光景を通じて、一枚の写真に映し出されるのか。この写真はそのような瞑想の境涯に私の心をいざなう。
まりおTo 上海静安寺の満月
昔、遣唐使として唐で過ごし、その地で没した安倍仲麿も「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」(天を仰いではるか遠くを眺めれば、月が昇っている。あの月は、奈良の春日にある、三笠山に昇っていたのと同じ月なのだなあ)と和歌に詠みました。現在でも、中国で月を眺めると、今、日本に昇っている月と同じなのだなあという感慨にふけってしまう気持ちは、よくわかります。コメントの文章とも相俟って、「心に映る中国」というコンテストにぴったりの、美しい写真だと感じました。