若者が経営する新しいスタイルの老人ホームとは?
マーダーミステリーやコミュニケーションゲームの人狼ゲームを楽しみ、インターネットサーフィンをして、インターネットで話題となっている店に行き、平均年齢70歳のエレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)チームを立ち上げるといったように、中国では現在、若者たちに引き連れられた高齢者たちの活発な姿を目にすることができる。しかもこれらの高齢者たちはいずれも老人ホームで暮らしているという。
「90後(1990年代生まれ)」の陳卓さんが院長を務める「哏都養老院」は、老人ホームの中でも特に目立っている。そしてここに入居している平均年齢75歳以上の高齢者たちがショート動画で見せる生き生きとした姿が人々を驚かせている。
「哏都養老院」とは、天津静雅養老院(老人ホーム)のハンドルネーム。陳さんは今年3月からこの老人ホームの院長を務めている。陳さんは高齢者について理解を深めていく中で、彼らのショート動画を撮影するというアイデアを思い付いた。当初は、高齢者たちの老人ホームでの暮らしを多彩にしたいという思いと同時に、家族のための思い出づくりが目的だったという。
陳さんを感動させたのは、ショート動画を撮影するようになって、高齢者たちがかつての健康で活力に満ちていた自分を思い出したことだった。日々の暮らしもより楽しむようになり、ポジティブになったという。そして、「お腹が空いたら食べて、疲れたら休めばいい」という当たり前ながらポジティブな高齢者たちの言葉に、ショート動画を視聴する若者たちが癒されている。
若者の経営するこの新たなスタイルの老人ホームは、これまでのような高齢者の衣食住のニーズだけを満たすのではなく、「年老いても楽しみ、学び、やることがある」ということを追求している。陳さんのような90後生まれの老人ホームの院長たちは、これらを衣食住と同じように重要視しているのだ。
河南省洛陽市の陳麗萍さんは老人ホームで、日常的に集団でのダンスや指体操を実施しているほか、レンタルした漢服を高齢者に着てもらい、戸外で撮影をしたり、中国のネット上で爆発的人気となった「ワヤ、ワヤ、ワー」というフレーズが特徴的な童謡に合わせた体操を高齢者に教えたりしている。こうした活動の際には、幼稚園にも劣らぬ活気にあふれるという。
河北省唐山市の「百歳幼稚園」という別名がある老人ホームでも、自称「ちょっと変わった院長」の劉華さんが、歌やダンス、100歳モデルチームなどを企画しているほか、映画やドラマのワンシーンを高齢者に演じてもらう試みも行われている。これまでに、「夜上海」や「さらば、わが愛 覇王別姫」といった映画やドラマ約20作品を「リメイク」してきたという。
このように人生というリアルなドラマを楽しく演じたいという点においては、若者にも高齢者にも違いはないと言えるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年11月13日
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