高速鉄道の鉄道車両ができるまでの5ステップを紹介
2008年に1本目となる高速鉄道が開通した中国は今や、世界最大規模で最速、最先端技術、最高レベルのサービスを誇る高速鉄道ネットワークを作り上げている。2023年末の時点で、中国の高速鉄道の総延長距離は4万5000キロ以上に達している。中国日報が報じた。
では、高速鉄道の車両はどのようにして製造されているのだろうか?ここでは、その5ステップを紹介していくことにしよう。
ステップ1:構体組立
構体は、車体の「骨組」で、最も基礎となる外板となる。全ての部品が構体に固定され、取り付けられる。
自動車生産では、高度な自動化が実現されているのに対して、高速鉄道の構体は、大型部品の溶接こそ大型自動技術が採用されているものの、他の部品の組立は、作業員が慎重、かつ正確に調整を加えながら進めていかなければならない。
中国の高速鉄道車両の生産効率は世界トップクラスとなっている。中車長春軌道客車股份有限公司(中車長客)の高級技師の周晶輝さんによると、「2009年当時は1両生産するのに5日から7日ほどかかっていたものの、今は1日に3両生産できるようになっている」という。
ステップ2:塗装
構体の組立が終わると、次は塗装が行われる。
中車長客の高級技師の郭凱さんによると、塗装は3ステップのプロセスを経て行われる。まず、腐食防止のための下塗りを行い、表面を平らにする。次に黄色い中塗りを行い、構体の凹凸を平滑にする。最後に、中塗り表面に凹凸がないことを確認した上で、色を付ける仕上げの塗装が行われる。
このプロセスは、女性のメイクのプロセスと似ているといえるかもしれない。メイクと同じで、列車の塗装も、美しく仕上げることだけでなく、「日焼け防止」や「アンチエイジング」もしっかり行うことで、様々な気候や環境にも耐えられるよう「肌を保護」する必要があるのだ。
中国の高速列車車両が増えるにつれて、様々な型番や速度、機能の車両が次々と誕生している。それと同時にボディの色も多彩になり始めている。
写真提供・「西南鉄道」の微信(WeChat)公式アカウント
ステップ3:艤装・配線・配管・内装
塗装が終わると、艤装・配線・配管・内装などが始まる。このステップは、車両製造の中でも重要ステップとなる。
まず、車両内部の配線と配管が行われるほか、上部の高圧設備の取り付けも行われる。
その過程は、水道の配管や電気の配線に似ていて、中車長客の高級技師の胡俊祥さんによると、「車両が完成すると、これらは全て隠してしまう必要があり、見えなくなる部分」なのだという。
では高速鉄道の車両にはどうやって電気が供給されているのだろうか?今年の春先、南方エリアで雪や霜の影響から、パンタグラフと架線の間にスパークが発生した現象が生じ、多くの乗客やネットユーザーの間で話題となった。
写真提供・「中国鉄道」の微信(WeChat)公式アカウント
このスパークを散らしたパンタグラフを通じて、車両は架線から2万5000ボルトの電気を供給されているのだ。
そして配線や配管などが終わると、内部の電力系統や換気システム、汚水排出システムといった機能を備えた部品が、床下に取り付けられる。また、車内の座席やディスプレイ、ドアなどの取り付けを含めた、内装工事も行われる。
ステップ4:完成検査
完成検査は停車させた状態で行われる。電気を流すことで、設備の状態などを確認する。これは新しい車両の検査の中でも重要な検査となり、車両の質や設備の取り付け状況などに対して全面的な検査が行われる。
ステップ5:試験走行
停車させた状態での検査の次は、エンジニアにより構内で実際に走行させる試験走行が行われる。
試験走行では、車両の牽引、制動、空調、車内放送、通信などの検査が行われ、各機能が正常に作動しているかチェックされる。
中車長客の新エネルギーデザイナーの向蔚然さんは、「試験走行は、自動車の出荷前のテストコースでの試走のようなもの」と説明する。
過去を回顧しながら、しっかりと今を見つめる中国の高速鉄道は長年にわたり、急速な発展を続けてきた。追走、並走を経て、先頭を走るようになるという歴史的進展を遂げている。スマートインテリジェント施工や自動運転、省エネ・環境保護といった先進技術が応用され、高速列車の車両は、より安全、スピーディー、グリーン、快適になっており、「高速鉄道」はより輝かしい中国の代名詞となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年7月19日
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