サイバスロン2024、中国人選手が義手レースで優勝
不自由な右前腕に義肢をはめ、これを使い重い物を持ち上げ、紙きれをつかみ取り、コップを積み重ね、鉄の輪を回し、箱の中の物を取り出し、そして失敗は許されない……。このほどにスイス・チューリッヒで行われた第3回世界「サイバスロン」(サイボーグのオリンピックとも呼ばれる)において、中国人選手の徐敏氏が90点の成績で強化型義手レースで優勝した。科技日報が伝えた。
徐氏と肩を並べて「戦った」のは、東南大学と中国科学院蘇州バイオ医学工学技術研究所の科学研究チームだ。強化型義手の運動の信頼性、耐荷重、柔軟性を高めることで、徐氏を優勝に導いた。今回の優勝は、最先端技術を駆使した障がい者の世界競技大会で中国人選手が達成した史上最高の成績でもある。
サイバスロンはスイスのチューリッヒ工科大学が創設し、4年ごとに開催されている。
義手レースは今大会で競争が最も激しいレースの一つだった。選手は義手で一度に重い物を持ち、両手を同時に使い、細かい物をつかみ取り、箱の中の物を取り出すといった10の義手操作タスクを行い、タスク完了数と完了時間で成績を競った。
義手レース中国代表団は7人からなり、選手の徐氏を除く5人の科学研究者はいずれも、東南大学ロボットセンサー・制御技術研究所の宋愛国教授のチームのメンバーだった。
宋氏は、「今回の競技で用いた義手には、筋電図信号の解析と識別、力感知と力フィードバック、フレキシブルな機構の設計という3つの中核技術がある」と説明した。
チームのリーダーで、中国科学院蘇州バイオ医学工学技術研究所の博士研究員の胡旭輝氏は、「徐氏にウェアラブルショルダーストラップをオーダーメイドした。ショルダーストラップの中には引張センサーがあり、徐氏の背中を曲げた時の肩の運動状態をモニタリングできる。センサーは肩部移動電気をモニタリングし、残存肢側が得た筋電図信号と連動し、指を開く角度や腕関節及び曲げる角度を制御する。背中を曲げる角度が開くほど肩の移動が大きく、指の開きが大きくなる。逆もそうだ」と説明した。
選手が競技中につかみ取る物や行う動きには大きな差がある。電球をねじ込んだり手首を逆にしてコップを積み重ねたりすることがあれば、ペットボトルを持ち、ハンマーを握り、やかんを持つ必要もある。
義手の力をいかに制御するのか。宋氏は、「チームは義手の指に力触覚センサーを埋め込んでいる。これによって物をつかみ取る時に、義手のつかむ力の大きさと力の分布を検出し、振動の刺激で信号を手に伝えることができる。つかむ力が大きくなるほど振動の刺激が大きくなる。選手はその強さに基づき加える力の大きさを決定できる」と説明した。
競技の動きは日常生活に由来するものだが、細かい動きまたは特殊な物をつかみ取ることは、上肢障がい者にとって依然として困難だ。そこでチームは各シーンに基づき義手を設計し、よりフレキシブルで安定的にした。
胡氏は、「例えば義手の指に4つの異なるつかみ取るエリアを設置した。紙きれや薬の匙といった平らで真っ直ぐな物体をつかみやすいように、第1機能エリアはなるべく水平にした。ハンマーやボトルなどをつかみやすいように、第2機能エリアは内向きのアーチ型にした。玉などの円形のものをつかめるように、第3機能エリアは半球面にした。やかんなどの重い物を持つ時にその位置を固定しやすいように、第4機能エリアは指の2つの関節に設置した」と述べた。
胡氏は最後に、「今回の優勝により、障がい者の需要を満たすことに立脚し、科学研究を実施する必要性を意識した。今後は人と機械がより融合し、操作機能がより実用的で、日常的により楽に使用できる義手を開発し、障がい者たちに恩恵をもたらすようにしたい」と意気込んだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年11月11日
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