自動車テストのホットな産業を構築する雪深い寒冷地
冬の黒河市で、路上を走行するテスト車両。資料画像
冬になると、この都市の道路では、謎の塗装が施された「ゼブラカー」がよく見かける。こうしたユニークな外観の乗り物は、冬の街に独特の景観を作り出している。寒くなればなるほどこの謎の乗り物が増える。
ここは黒竜江省黒河市で、中国の北東端に位置し、川を挟んだ対岸はロシア。冬の気温は常にマイナス30から40℃まで下がる。この中ロの国境にある小さな都市は近年、寒冷な気候を利用し、インフラやサービスの取り組みを持続的に改善することで、徐々に世界的に有名な自動車の寒冷地テスト拠点に発展している。「冷たい資源」を「ホットな産業」に変え、地方の経済・社会発展を推進する重要なエンジンになっている。
屋外の気温がマイナス20℃以下の黒河市の黒竜江紅河谷自動車測定テスト股份有限公司の試験場で、上汽通用五菱汽車股份有限公司のテストチームを率いる王陸陽氏が車を運転し、専用テスト道路でブレーキやカーブなどの操作を行っていた。収集されたデータは今後の車両パラメータを調整する重要な参考資料になる。
黒河の寒冷地自動車テスト産業は1980年代後半に始まった。中国の一部の自動車メーカーは当時、中国の一部地域の特殊な寒冷気候は自動車及びその部品の性能に独特な課題をもたらすことを認識していた。
塞尼特(北京)自動車技術サービス有限公司のテストアナリストのクリストフ・プロディエル氏は、「黒河はその寒冷気候により理想的な自動車試験場になった。特に気温がマイナス30℃以下に下がると、自動車のエンジン、電子機器、オイルなどの極寒環境における性能をより正確に調べられる」と述べた。
第一汽車の解放トラックは89年、いち早く黒河で寒冷地自動車テストを開始した。中国の自動車産業の急速な発展に伴い、特に過去20年近くにわたる自動車産業のグローバル化の加速により、黒河の地理的・気候的条件が寒冷環境における自動車性能テストの理想的な場所であることを認識する中国内外の自動車メーカーがますます増えていった。
黒竜江紅河谷自動車測定テスト股份有限公司の趙鑫宏社長は、「当社は現在、ロードノイズ路や点検修理作業場などの関連施設を含む10数ヶ所の寒冷地自動車テスト拠点を有している。数十件の寒冷地自動車テストを実施できる。当社はすでに中国内外の100以上の完成車・部品メーカー及び科学研究機関と協力関係を築いてている」と説明した。
30年以上の努力を経て、黒河の自動車テストの種類・範囲が持続的に拡大し、テスト機関、車両、人員が持続的に増加した。毎年11月から翌年3月まで、黒河市の各大型試験場には中国国内及び米国、ドイツ、フランス、日本、韓国などの国・地域の有名自動車メーカーが集結する。各地のテスト担当者は「渡り鳥」のようにいつものように黒河に戻り、年に一度の寒冷地自動車テストを行う。
黒河市工業・情報化局の劉興明副局長は、「黒河は中国自動車工業協会から『中国黒河自動車寒冷地テスト拠点』との称号を授与され、寒冷地自動車テスト台数で中国の8割以上を占めている。当市は現在、中国の自動車寒冷地テストの主要な拠点になり、ZFなどのグローバルサプライヤーと、小米(シャオミ)やテスラなど中国内外の170社以上の企業と長期的な協力関係を築いている。寒冷地自動車テスト産業は大きく活性化している」と説明した。
黒河の寒冷地自動車テスト産業は、当初の単純な温度耐性試験から現在のスマートコネクテッド、自動運転、グリーン・環境保全、部品耐久性など複数分野の総合的テストへと発展している。
寒冷地自動車テスト産業の急速な発展は、黒河市の経済に対する牽引力を強めている。毎年の寒冷地自動車テストシーズンには、黒河市の産業成長を直接的に推進しているだけでなく、複数の産業の全面的な発展も牽引している。
データによると、2023−24年の自動車テストシーズンに黒河をテストのために訪れた完成車・部品企業は前年同期比28%増の145社で、テスト担当者は同52%増の4000人近く、テスト車両は同67%増の約3000台。自動車テスト経済の直接的な経済収入は1億7000万元(1元は約21.5円)で、宿泊、飲食、ショッピング、観光、物流、給油・充電などのサービス業の約4億3000万元の収入をもたらした。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年1月15日
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