マラソン大会が年間700回以上開催 メダル産業が活況
今年4月には、中国各地でマラソン大会が110回以上開催される。大会の重要な一部として、メダルのデザイン・製造のニーズも高まっている。2017年からマラソン大会のメダルデザインの仕事を手がけてきた許宇鋒さんは、「これまでに200種類以上のメダルをデザインした。今年上半期の受注はすでに埋まっており、下半期の受注スケジュールも奪い合いのような状況になるだろう」と話す。
中国陸上競技連盟が3月に発表した「2024年中国ロードランニング活動報告」によると、24年には全国で各レベル・種類のロードランニング大会が累計749回行われ、そのうちフルマラソンとハーフマラソンの大会は計696回で、23年は631回だった。ロードランニングイベント全体の参加者は延べ704万8600人、そのうちフルマラソン・ハーフマラソンは延べ416万3200人で、23年は延べ344万5000人だった。24年は、上海国際マラソンなどトップクラスのマラソン大会の直接経済効果が平均で4億1900万元(1元は約20.0円)に上った。マラソン大会は開催都市に極めて大きな総合的利益をもらすことがわかる。
完走したことを証明するものとして、マラソンメダルはマラソン大会の重要な一部になっている。最近はデザインが多様化し、開催都市の自然・歴史・文化を織り交ぜたものもあれば、ユニークさが目を引くものもあり、大会の注目点の1つになっている。
3月23日に浙江省寧波市で開催された2025寧波国際マラソンのメダルは、裏面は寧波市の地図を組み合わせたコンパスがデザインされており、ランナーの決して諦めない精神を象徴している。4月20日に湖南省長沙市で行われる2025湘江ハーフマラソンのメダルは穴あきデザインで、表面には長沙の都市部のランドマーク建築物が並び、中央の空洞部分には滴型の飾りがぶら下がり、湘江と長沙の歴史や文化を表現したものとなっている。
メダルをブラインドボックスにした遊び心のあるデザインもある。2024年に山東省泰安市で開催された泰安マラソンのメダルはこのタイプで、メダルは5種類あり、ランナーをたたえる5つの文字「酷(クール)、爽(爽快)、美(美しい)、賛(いいね!)、神(すばらしい)」のどれかが刻まれている。字の部分を覆ったシールをめくると、「泰酷囉(とてもクール!)」、「泰爽囉(とても爽快!)」、「泰美囉(とても美しい!)」、「泰賛囉(とてもいいね!)」、「泰神囉(とてもすばらしい!)」の文字がランダムに現れる仕様となっている。
一部の有名ブランドもマラソンメダル市場に参入した。ジュエリーチェーンの六福珠宝は15年から6年間、上海マラソンの完走メダルのデザイン・製造を手がけた。米高級ジュエリーブランドのティファニーは23年と24年の過去2回連続で上海マラソンと提携し、男女上位3位の選手に贈るトロフィーとメダルのデザインを手がけた。
前出の許さんは、今ではランニングイベント関連の独立したデザイナーであり、自身のアトリエを運営している。
許さんによると、マラソン大会のメダルのデザインを決める方法には主に2通りあり、1つはデザイナーに直接依頼する方法、もう1つはデザインを公募して選ぶという方法だ。
許さんは、「現在、マラソン大会のメダルのスタイルと内容が絶え間なく発展しており、もはや単なる完走証明ではなく、芸術的コレクションという性質を徐々に備えるようになってきている」と話す。
広東省中山市の中山市天隆工芸製品有限公司の徐応平社長は、「マラソン大会のメダルは、15年から一部分が回るデザインなどデザインイノベーションが見られ始めたが、規模はそれほど大きくなかった。17年以降にマラソン大会の開催数が爆発的に増加すると、メダルのデザインも多様化し、フォルムもこれまでのような丸型一辺倒ではなくなった」と振り返った。
徐社長は、「(ある地域で大会が開催された時に)主催者はその土地の特徴をメダルに織り込みたいと考える。例えば、江西省景徳鎮市の陶磁器、雲南省騰衝市の玉などの特産品や自然資源などをメダルに取り入れた大会もあったし、中には特産品の茶葉をメダルに入れた大会もあった。さまざまなタイプ・デザインのメダルにはそれぞれの製造技術が必要であり、こうした特色ある要素をどのようにメダルの製造に落とし込むかが、大きな課題となっている」と例を挙げながら説明した。
徐社長は、「最近製造した最も複雑なメダルは、3月に安徽省蕪湖市で行われた2025蕪湖マラソンのものだ。これには動かせる小さな飛行機が付いていて、飛行機を動かすとメダル本体が開閉する仕組みになっている。15の部品からなっており、試作だけで約半月かかり、製造には約25日間かかった」と振り返った。
徐社長によると、現在、長江デルタ地域の都市で、特に江蘇省の都市でマラソンメダルのニーズが最も大幅に増加している。中国陸上競技連盟のまとめたデータでは、24年には江蘇省でマラソン大会が61回開催されて全国トップになり、2位は浙江省で57回だった。メダル製造期間はマラソン大会の開催時期によって決まる。国内のマラソン大会は3-4月がピークで、5-7月は西北地域と雲南省、貴州省などに集中し、下半期は10-11月に集中するという。徐社長は、「今年はマラソンメダルの売り上げが前年同期比20%増加する見込みだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2025年4月7日
注目フォトニュース
関連記事
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257 Mail:japan@people.cn