オシャレな要素とコラボし新たな活力放つ土家族の伝統的な絹織物 湖北省恩施
湖北省恩施土家(トウチャ)族苗(ミャオ)族自治州恩施市六角亭街道(エリア) にある土家族伝統の絹織物「西蘭卡普」体験拠点に足を運ぶと、機織りの女性たちが糸を選び、それを織機にセットして、機織りを始めていた。指を器用に使って織機を操作すると、織機に張られた経糸に緯糸を渡す「杼(ひ)」が糸の間を行き交い、踏み木をリズムよく踏む軽快な音が響く中、美しい模様の織物が少しずつ出来あがっていった。中国新聞網が伝えた。
土家族の言語において、「西蘭卡普」は「花柄の布団」という意味で、「通経断緯」と呼ばれる織り方を用いて作られ、手作業で伝統的な織機を使って裏織され、鮮やかな色合いと、精巧にデザインされた美しい模様が特徴だ。西蘭卡普は2006年に中国の「国家級無形文化遺産リスト」に組み込まれた。
色鮮やかで美しい「西蘭卡普」(撮影・董暁斌)。
土家族の姉妹・譚艶華さんと譚艶賓さんは子供の頃から「西蘭卡普」が大好きで、湖北省や湖南省のあちらこちらに足を運んで、調査と研究を重ね、専門家から技術を学び、マスターしてから、土家族の伝統的な織機を武漢に運び、「西蘭卡普」を売りにしたアパレルブランドを立ち上げた。
大都市で長年一生懸命働いた2人は、「西蘭卡普」はノスタルジックで、土家族の記憶が詰まっており、この伝統的な技術の伝承と発展には、故郷が一番最適であることを認識するようになった。そして、2020年、故郷に戻って起業することを決意し、現代的な要素も取り入れられた「西蘭卡普」に新たな活力を注入した。
譚艶華さんは、「どのようにして、伝統をリスペクトしながら、大胆に新しいものを取り入れて、一人でも多くの人に『西蘭卡普』を知り、魅力ある『西蘭卡普』を見てもらえるようにできるかをずっと考えている。故郷に戻って来てから、設備を改良し、革新的な技術を取り入れ、横糸と縦糸の密度を調整し、本絹を加え、現代的で、オシャレ、かつ多様な要素を取り入れ、『西蘭卡普』の飾り絵や装飾品、ショール、枕、ぬいぐるみといった、今の時代のいろんなシーンで使える商品を開発した」と説明する。
「西蘭卡普」伝承基地で働く女性(撮影・董暁斌)。
赤、青、黒をベースにした商品が並ぶ展示ホールでは、地味なブラウン系の色のカバンやマフラーが特に存在感を放って目立っていた。譚艶賓さんは取材に対して、「故郷の柿を集め、絞って作った染料で、花の模様を染め上げ、日向で乾燥させて、この世界に一つしかないブラウン系の色の織物を作っている」と説明した。
そして、「昨年の北京ファッションウィークにおいて、この柿の染料を使って染め上げたカバンは注目を集め、最終的に、外国人デザイナーが、『絶対にほしい』といって持って帰った」と笑顔で話した。
伝統技術と現代的な美的理念がうまく組み合わされ、化学反応を起こして、独特なデザインが生まれ、「西蘭卡普」に新たな活力が注入されている。2023年、譚さん姉妹は「西蘭卡普」のショールを引き下げて、上海ファッションウィークに参加し、ある世界的に有名なブランドと契約を結んだ。国務院僑務弁公室は2年連続で、2人がデザインした「西蘭卡普」のマフラーや雨傘、カバンなどのセットを、春節(旧正月)のプレゼントとして、世界各国の華僑に送った。
留学生に「西蘭卡普」を紹介する譚さん姉妹 (写真提供・取材対応者)。
譚艶華さんは、「『西蘭卡普』を生活に溶け込ませるというのが一番の伝承で、体験してもらうことが一番の発揚になる」と話す。そして、2人は「西蘭卡普」伝承拠点や生産拠点、文化クリエイティブ拠点を相次いで設置し、公益性を備えたトレーニングを実施し、子育て中の女性や身体障がい者など、数百人の雇用を創出した。さらに、操作が簡単な両用新型織機を開発し、学校と提携して、関連の授業を設置し、青少年に合わせた研学プロジェクトに取り掛かり、毎年、中国国内外の青少年数千人が、土家族の伝統的な織物作りを体験している。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年4月9日
注目フォトニュース
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257 Mail:japan@people.cn