中国のトキの個体数が1万羽の大台突破

人民網日本語版 2025年07月15日16:50

中国の国家一級保護動物に指定されているトキの今年の繁殖期がほぼ終了した。各地のトキ保護拠点からは、飼育個体群と野外個体群のどちらでも多くのトキのヒナが誕生し、個体数が過去最高を更新‌したとの報告が相次いでいる。

河南省羅山県董寨国家級自然保護区のスタッフは、トキの野外個体群で今年、67組がペアリングしたことを確認。現時点で、個体数が700羽以上にまで増加したという。

浙江省徳清県の浙江省トキ緊急保護基地は、中国南方エリアにおけるトキの個体群構築拠点だ。同保護基地では今年、飼育下のトキから合わせて102羽のヒナが生まれた。うち68羽は自然孵化、34羽は人工孵化だった。現時点で、徳清県のトキの個体数は960羽まで増加した。内訳は野外個体数が500羽以上、飼育下のトキが440羽となっている。

陝西省銅川市は、秦嶺山脈以北で初めて野生復帰のためにトキが放鳥された場所で、野外個体数は280羽以上にまで増加している。

各地で再びトキの姿 個体数が1万羽以上にまで回復

トキはかつて東アジアのほとんどの地域に広く分布していたものの、生息地が破壊されたことなどが原因で、個体数が激減した。1981年、陝西省洋県で、7羽の野生のトキが発見されて以降、中国は一連の効果的な対策を講じ、多くの地域で再びトキの姿が見られるようになっている。

野生復帰に向けたトキの放鳥は、かつての生息地に種を再導入するための主なアプローチとなっている。2004年、中国は陝西省洋県華陽鎮において、飼育されていたトキの放鳥を初めて実施した。そして2007年には、種の再導入に向けて、陝西省寧陝県でトキが放鳥された。

トキの分布を長江流域から黄河流域まで拡大させるべく、中国は2013年、秦嶺山脈以北の陝西省銅川市で放鳥を実施した。さらに、2020年から10年かけて、同山脈の北麓でトキを放鳥する計画を実施しており、これまでに西安市や渭南市などで110羽のトキが放鳥された。

保護のための取り組みが40年以上続けられた結果、中国では現在、野生のトキの個体群の分布が最初に発見された洋県から漢中市全域に拡大。さらに東の安康市、商洛市、湖北省十堰市、南の四川省広元市、巴中市、西の甘粛省隴南市、北の陝西省宝鶏市でも、野生のトキが生息するようになった。

陝西省の漢中トキ国家級自然保護区管理局の牛克勝局長によると、「現時点で、世界のトキの個体数は1万羽の大台を突破した。中国のトキの個体群は10以上の省に分布している」という。(編集KN)

「人民網日本語版」2025年7月15日

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