日中友好のために市民ができること

「歴史を教訓に、未来を共創する」エッセイコンテスト:優秀賞

人民網日本語版 2026年04月09日10:04

世論を形成するのは市民一人ひとりだ。どうすれば中日関係は好転するのか、作者は一市民からできることを、「日中の歴史を知ること」「交流をすること」「発信すること」から考えてみた。 


「中国によくない印象を持つ人が増えました」、こんなニュースが日常茶飯事になっている。振り返ってみると私がニュースに触れるようになってから、日中関係が良くなったと聞いたためしがない。1972年の国交正常化、そして日本中がパンダブームに沸いた後に生まれた私の世代は、日中関係が良かった記憶がないのだ。そして、私が大学生の時に小林よしのりの『戦争論』がブームになった。『戦争論』ではアジア・太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び直し、従軍「慰安婦」はいなかった、「南京大虐殺」は無かった、先の戦争は「日本が正しかった」と声高に訴えていた。小学生のときに小林よしのりの『おぼっちゃまくん』という漫画が流行っていたので、小林よしのりには親近感があったし、高校生の時には、小林よしのりはオウム真理教を批判する当時では数少ない言論人だったので、正義のために闘う文化人というイメージがあった。だから『戦争論』は漫画ということもあり、すんなりと読むことができた。今の若者は動画世代だが、私の世代は漫画というメディアが大きな影響を及ぼした。小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』という作品は、思想をわかりやすく漫画にした点で画期的だった。こうした漫画を読んだ世代は、当時急速に広がったインターネットの掲示板「2ちゃんねる」で『戦争論』の言説を振りまいた。『戦争論』的な言説の投稿が拡散して、ネット右翼が形成されていく様をリアルタイムで見ていた。この時期から韓国や中国に対するヘイトがインターネットを介して急速に広がり、今もなお続いているように思う。私の世代は日中関係が最悪の時代しか知らない。私は政治家でも外交官でもないただの一市民である。しかし、世論を形成するのは市民一人ひとりだ。どうすれば日中関係は好転するのか、一市民からできることを考えてみたい。

一つは日中の歴史を知ることである。『戦争論』を読んだ当時、ちょうど大学に入り現代中国史を学ぶことができたので、『戦争論』の嘘を知ることができた。もし中国のことを勉強していなかったら、今ごろはネット右翼の一人となり、ヘイトスピーチをネットに書き込んでいたかもしれない。やはり、知るということ、歴史教育というのは重要である。「先の大戦は、日本はアジアを解放するために始めた」とメディアで堂々と語ることができるようになってから四半世紀が過ぎる。そうした考えを持つ政治家が今では人気を集めており、若い世代への影響が懸念される。そして、日本で語られる戦争は被害の歴史ばかりである。原爆や空襲の被害ばかりが強調され、韓国の植民地支配、中国やアジアの侵略といった加害の歴史がメディアでほとんど報道されない。日本は米軍から無差別爆撃を受けたが、日本軍は重慶に無差別爆撃をして、大勢の市民を殺した。歴史を知るにしても、被害ばかりでなく、加害の歴史も知る必要がある。私は毎年8月に高校生を広島、長崎に派遣する事業に携わっている。今年は広島の大本営跡に高校生を連れていった。広島は日清戦争の時に大本営が設置された、いわばアジア侵略の玄関口だった。最近では、中学生を8月6日の平和祈念式典に派遣する事業が全国の地方自治体で広がっているが、加害の歴史をどれだけ教えているのか疑問だ。広島では強制連行をされた沢山の朝鮮人が亡くなった。新潟港では強制連行された中国人が亡くなっている。そうした歴史も原爆の被害と一緒に中高生に教えるべきだと思う。

次に、日中友好に市民ができる2つめのことは交流をすることである。日本には沢山の在日中国人がいるので、中国に行かなくとも交流をすることができる。私が大学生のときにアルバイトをしていた職場には中国人がいたし、皆さんの周りにも中国人がいるはずである。国際交流や国際理解が声高に叫ばれるが、身近なバイトの外国人と仲良くすることだって、国際交流や国際理解である。イベントに参加したり、外国に行くことだけが国際交流ではない。職場や隣の外国人と仲良くすることも国際交流であり、身近なことこそが重要であると私は考える。

最後に日中友好に市民ができる3つめのことは発信することである。ヘイトが溢れるインターネットにおいて正しい情報を発信することは重要である。ポスト・トゥルースの時代、「嘘も100回言えば真実となる」からこそ、誤った情報はその都度正さなければならない。嘘を放置すれば大変なことになる。噓を正す言論人の投稿をシェアするだけでもいいので、発信を続ける必要がある。ネット上の沈黙はヘイトの肯定になり得る。ヘイトや差別を放置してはいけない。

日中友好のため、歴史を知り、交流をして、発信することは一市民でもできるが、それでもやはりハードルが高いように思う。歴史の話題が難しければ、最初は文化面から入ってもいいと思う。日韓関係は、韓国ドラマやKPOPの影響で一変した。韓国の歴史を知らず、表面上の文化交流だけでは真の友好関係は築けないと批判はあるかもしれないが、まずは興味を持つことから始めてもいいと思う。日本は中国の文化なくして存在しえないくらい、中国の文化は日本に根付いている。文字にしても漢字がなければ日本語は成り立たない。中華料理やラーメンが嫌いという日本人は珍しいだろう。三国志の人気は根強く、『パリピ孔明』という漫画は若者に人気を博している。『キングダム』は映画を含め大ヒットしている。意識をしないくらい中国の文化は日本に身近にあり、中国を好きになる要素はいくらでもある。私は一昨年南京師範大学の日本語学科の学生と交流したときに、日本のYOASOBIを好きという学生がいた。日中友好に向けて文化の力は大きい。取っ掛かりとして映画やアニメ、音楽のファン同士の交流もいいだろう。

日本の繁栄も中国の繁栄も、両国の友好関係にかかっている。双方の国民がいい印象を持てなければ、今後の関係が危ぶまれる。一市民ができることは小さいかもしれないが、一滴のしずくは大河になる。日中友好の大河をつくるために、身近な人と対話をしていこうではありませんか。(文·有田純也)

コンテストについて

中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年を記念し、中華人民共和国駐新潟総領事館が主催し、新潟県日中友好協会、山形県日中友好協会、福島県日中友好協会、宮城県日中友好協会、中国国際航空仙台支店、中国東方航空新潟支店、中国南方航空新潟支店が協力したエッセイコンテストが2025年7月から9月まで行われた。「歴史を教訓に、未来を共創する」をテーマとした同コンテストには、作品計41編が寄せられ、審査委員会による選考の結果、17編が入賞した。作品には中日両国の平和共存と世代を超えた友好に向けた提言が数多く示され、中日双方が手を携え、アジア運命共同体の構築を共に推進していくことへの期待が込められていた。

「人民網日本語版」2026年4月9日

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