作者は本文に軍拡の問題点や最悪の結末を分析し、「歴史を顧みれば軍拡の先に未来がない」と主張している。また、「過去の過ちを忘れず、相互理解を深める努力を続けることで、軍事力に依存しない平和を築くことができる」とした。
一、はじめに
現代では歴史の教訓が忘れ去られているように思える。例えば、NHK (2025) によれば2025年現在、世界全体の軍事費は過去最高に達するなど軍拡が進んでいる。特にアメリカは全体の40%のシェアを占めており、その貢献の度合いは高い。そして、2027年に防衛費のGDP比2%以上を目指す日本も、その増加率が16.5%に達しているように、軍拡の道を進んでいる。しかし、歴史を顧みれば軍拡の先に未来がないことは明らかである。そのため、このエッセイでは軍拡の問題点を明示し、軍拡の末の戦争という最悪の結末を避けるために相互理解が必要であることを主張する。
二、軍拡の帰結 ―歴史の教訓―
ここでは歴史上の事実に基づき、軍国主義とファシズムがもたらした悲惨な結末を振り返る。1930年代はファシズムによる侵略が吹き荒れた時代である。1931年の日本による満州への侵略、1935、36年のイタリアによるエチオピアへの侵略、ドイツによるオーストリアなどの周辺地域の併合など例を挙げれば枚挙に暇がない。ここで、そのような侵略を支えるものは軍国主義化した政治体制に他ならないと言える。例えば、当時の日本は、軍人が総理大臣を務めるように、軍が政府の中心であった。その影響は軍事予算に顕著に表れている。また、米英日仏伊で結ばれたロンドン海軍軍縮条約を日本は、軍の反発を抑えきれず、1936年に脱退している。さらに、日本におけるこのような軍国化は天皇独裁によって成立していた。大日本国憲法において「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」と定められており、それを根拠に軍の権限は野放図に拡大していた(いわゆる統帥権干犯問題)。また、自国民優越主義も無視することができない。大東亜共栄圏や八紘一宇などの言葉の下で、平和や共存を謳いながら、日本による搾取や支配を正当化した。そして、その帰結は悲惨な第二次世界大戦である。中国人の死者数は1000万人以上に上り、日本人の死者数も300万人に達する。
同じような悲惨な事態を生まないためには、歴史の事実を見つめることが重要であるが、近年の日本ではそれを忘れようとする動きが広まっている。第二次世界大戦における日本の侵略の正当化や、南京虐殺を否定する言論が幅広く支持されている現状がある。さらに問題であることは、このような歴史軽視の姿勢は偏った思想を持った一部の市民にのみ見られるというわけではなく、日本の政治家らも賛同していることだ。例えば、2024年に群馬県に設置されていた朝鮮人追悼碑が行政によって撤去された。また、2018年にX(当時のTwitter)で安倍晋三首相(当時)は間違った歴史が多く書かれている「日本国紀」を読んでいることをアピールした。また、2025年の参議院選挙で14議席を獲得するなど注目を浴びた参政党の議員らは、日本の戦争責任を明示した歴史観を自虐史観として否定している。これらの思想に対しては断固として正しい歴史認識を主張していく必要がある。
三、 軍拡をしないために ―抑止論を乗り換える―
これまで、侵略戦争の否定をしてきたが、こういった反論が考えられる――軍拡は防衛のために行うものであり、また軍事力があることを示して戦争を起こさせない抑止力のためにあるのだ――という反論だ。しかし、それは他者に対する無理解から来るものである。基本的に人々は戦争をしたがらないものである。それは日本が仮想敵国として見なしがちな中国も例外ではない。
ここからは私の体験談を交えて説明する。私は2025年8月24日から29日に新潟総領事館の方々に案内していただき、中国に訪れた。香港の立法会などの政府機関や、HUAWEI などの企業に訪問した。それらの施設で温かく迎えられたことはもちろんだが、現地の一般の方々にも助けられた。街中を歩いていて道に迷った時は誰に聞いても親切に対応していただいた。彼らの中で道を知らない方でも私たちの代わりに調べたり、詳しい方だったら耳寄りの情報も追加して教えたり、など非常に友好的に接していただけた。これはメディアやSNSで広がる中国人に対するネガティブなイメージとは対極のものである。この経験から私は日本人と中国人が対話を通して強固な信頼関係を築くことができると確信している。そして、国民に力があるならば、政治家の暴走を止めることができる。そのため、相手のことをただ恐れるのではなく、理解していけば抑止力としての軍事力も不要になるのである。
四、さいごに
軍拡の歴史が示すように、武力による平和は幻想に過ぎない。それは、相手を仮想敵国と見なし、恐怖を煽ることで成立する脆弱な関係だからだ。真の平和は、お互いの顔が見える関係を築き、歴史の痛みを共有する対話から生まれる。私自身の中国での体験は、メディアや政治が作り出す対立のイメージを超え、個人間の温かい交流が信頼の礎となることを教えてくれた。私たちは、過去の過ちを忘れず、相互理解を深める努力を続けることで、軍事力に依存しない平和を築くことができる。この道こそが、日中両国が手を取り合い、平和・安寧・繁栄・美しさ・友好という「五大家園」を共に築き、アジア運命共同体の未来を切り拓く唯一の道なのだ。(文·渡邉翔太)
コンテストについて
中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年を記念し、中華人民共和国駐新潟総領事館が主催し、新潟県日中友好協会、山形県日中友好協会、福島県日中友好協会、宮城県日中友好協会、中国国際航空仙台支店、中国東方航空新潟支店、中国南方航空新潟支店が協力したエッセイコンテストが2025年7月から9月まで行われた。「歴史を教訓に、未来を共創する」をテーマとした同コンテストには、作品計41編が寄せられ、審査委員会による選考の結果、17編が入賞した。作品には歴史を銘記し未来へ向かう提言が数多く示され、中日双方が手を携え、アジア運命共同体の構築を共に推進していくことへの期待が込められていた。
「人民網日本語版」2026年4月21日
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