未来へつなぐ

「歴史を教訓に、未来を共創する」エッセイコンテスト:優秀賞

人民網日本語版 2026年04月23日11:05

不安と期待が混じった気持ちで中国を訪れた作者は、中国で出会った人々は想像していたよりもフレンドリーで親切だったと思い、自分は思い込みや偏見というフィルターのかかった視界で物事を見ていたことに気づいた。「ニュースや日本で見聞きしたことだけではわからない、現地に行って自らの目で見て、聞いて、心で感じることで得られるものが確かにあった」との感想を書き込んでいる。


偶然にも私は中国ハルビン市に行く機会を得た。それをきっかけに私は、中国北東部の黒龍江省と山形県が「友好県省」として提携していることを初めて知った。中国といえば広大な国土や人口の多さが思い浮かぶが、ハルビン市という都市がどこにあって、どんな人々が住んでいるのかを知らなかった。そんな私は、未知の世界へ飛び込むことに不安と期待が混じった気持ちだった。

私は訪問地の一つとして731部隊遺跡を訪れた。そこには当時の資料や実験用具、写真が展示されていた。学校の授業でも一度習ったことがあったが、実際に施設に足を運ぶことで衝撃的な内容がより現実味を持って迫ってきた。展示室はとても静かで緊張感に包まれており、書かれた言葉ひとつひとつから一言ではとても表しきれない歴史の重みを感じた。そこにいるだけで胸が苦しくなるような空間だった。過去にこのような残虐な行為があったことは信じがたいことで、日本人として複雑な思いを抱いた。しかし、過去の事実から目をそらさず正しく受け止めることが、未来を共に築いていく第一歩に繋がり、日本人としても国際社会の一員としても私達はその責任があると感じた。絶対に繰り返されてはいけないことであり、決して他人事ではないと感じた。過去には戻ることはできないから、これからどう過去の残酷な出来事と向き合って、どう世界の人々と関わっていくかが鍵になると身に染みて感じた。一方で、現代の中国に生きる人々との出会いはとても温かいものだった。中国を訪問して特に印象に残っているのは、夜のハルビン市・中央大街を散策したことだ。石畳の道やネオンのきらびやかさとロシア文化の影響を強く受けた街として国際色豊かな背景を持っていることから異国情緒溢れた場所だったが、そこでは、その地元の日常に少し近づいたような気がして嬉しかった。自分がその地の外国人として買い物をするのは初めての体験で緊張していた。しかし、中国の店員さんは気さくに声をかけてくれ、身振り手振りを交えながら丁寧に対応してくれた。翻訳アプリを通して意思疎通を図ったときもあったが、わかりあえたことが楽しかった。あるときエレベーターに乗っていた際、中国語で話しかけられて理解できず戸惑っていると、その息子と思われる人が英語で「Where are you from?」と訳して声をかけてくれた。JAPAN!と答えて会話できただけでも大きな喜びを覚えた。また、店員さんやバスの運転手さんなど、自分が唯一知っている「謝謝」という言葉をかけるだけでも、お互いが笑顔になった。こころが温かくなった。中国で出会った人々は、私が想像していたよりもフレンドリーで親切だった。私は思い込みや偏見というフィルターのかかった視界で物事を見ていたことに気付かされた。そんなフィルターを通して世界を見てはいけないと強く感じた。ホテルのレストランで営業時間外にも関わらずウリの皮をむいて出してくれた出来事も忘れられない思い出の一つだ。また、中国の高校生との交流も心に残っている。中国の高校生の日本語がとても流暢なことに驚いたとともに、文化や言語に対する興味が伝わってきた。また、中国の子どもたちは勉強して夜10時に帰ってくるのが当たり前と知り、努力を惜しまずにたくさんの量を勉強している姿勢に感銘を受けた。私自身もその姿に心を動かされ、負けずに勉学に励みたいと思った。さらに、K-POPや映画、アニメが好きなど、日本の若者と共通点もたくさんあり、国が違っても趣味や感性が似ていてとても親近感が湧いた。さらにこの旅のなかで一度、中国人と間違えられた。同じアジア人として似たような外見を持っていることも、現地であまりアウェイ感を感じなかった理由の一つだろう。振り返ってみれば、言語の壁はあっても気持ちが通じ合う瞬間があり、心のつながりが大切だということを感じた。

経済的な面で見ると、中国は日本にとって最大の貿易相手国の一つだ。日本企業の対中投資も活発だ。文化的な面で見ても中国の文化は、日本の文化形成に大きな影響を与えている。一方で、歴史認識のずれや領土問題など両国間の課題は残っており、日中関係が良好といえない場合もあるだろう。しかし、両国とも少子化という共通の問題を抱え、相互に影響し合う存在であることに違いない。ふと頭に浮かんだのは日本史の授業で聞いた「国交はないけれど、文化の交流はあった」という話だ。たとえ政府間の関係が難しくても、人と人はいつの時代も絶えず強くつながっているのではないか。

今回の中国訪問は、私にとって新しいことの連続だった。ニュースや日本で見聞きしたことだけではわからない、現地に行って自らの目で見て、聞いて、心で感じることで得られるものが確かにあった。中国の人々の温かさや文化の奥深さに触れ、中国に対する関心や理解が高まり、中国を好きになった。現地でたくさん話しかけてくれた中国語を理解できなかったことが悔しく感じ、中国語を学んでみたいとも思うようになった。そして何より、この経験はかけがえのない貴重なものとなり、私の世界を広げてくれた。今回知ったことは世界のまだほんの一部分のことだと思うので、これから過ごしていくなかで自分の目でもっといろいろなことを知っていきたい。出会ったすべての人々に感謝するとともに、この経験を糧に、世界の人々と手をとりあってより良い未来を築いていきたい。(文·湯村心遥)

コンテストについて

中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年を記念し、中華人民共和国駐新潟総領事館が主催し、新潟県日中友好協会、山形県日中友好協会、福島県日中友好協会、宮城県日中友好協会、中国国際航空仙台支店、中国東方航空新潟支店、中国南方航空新潟支店が協力したエッセイコンテストが2025年7月から9月まで行われた。「歴史を教訓に、未来を共創する」をテーマとした同コンテストには、作品計41編が寄せられ、審査委員会による選考の結果、17編が入賞した。作品には歴史を銘記し未来へ向かう提言が数多く示され、中日双方が手を携え、アジア運命共同体の構築を共に推進していくことへの期待が込められていた。

「人民網日本語版」2026年4月23日

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