歴史の痛みを未来への力に

「歴史を教訓に、未来を共創する」エッセイコンテスト:優良賞

人民網日本語版 2026年04月30日09:36

本で読むだけでは戦争の恐ろしさが理解できない。知る、語り継ぐ、そして日常の中で小さな「平和の選択」を積み重ねることで、「争いよりも共に生きる」社会に近づけると作者は信じている。


私たちが生きている今の日本は、とても平和です。朝起きて、家族とご飯を食べ、学校で友達と笑い合う。そんな毎日を「当たり前」だと思ってしまいがちです。しかし世界に目を向けると、その当たり前が奪われている国や地域が今もあります。戦争や紛争のニュースを見るたびに、私は胸が苦しくなります。なぜなら、そこに映る子どもたちも本来なら、私たちと同じように未来を夢見て笑っているはずだからです。

戦争は一瞬で日常を壊します。爆弾や銃で命が奪われるだけではありません。大切な家族と過ごす時間も、学校で学ぶ権利も、友達と笑い合う未来も、すべてがなくなってしまいます。生き残った人々も深い心の傷を抱え、その苦しみは一生消えることがありません。

私は昨年、中国のハルビンを訪れ、かつて日本軍が設立した「七三一部隊跡地」を見学しました。そこに展示されていたものは、正直に言うと、直視するのもつらいものでした。冷たい器具、残された写真、人間を「物」として扱った記録。目を逸らしたいのに、目を逸らせませんでした。展示室を出たとき、胸の奥がぎゅっと締めつけられて、しばらく言葉が出ませんでした。

私はその時、強く思いました。「これは本で読むだけでは分からなかった。自分の目で見て、心で感じたからこそ、戦争の恐ろしさを理解できた」と。戦争は数字や資料で語られるだけではなく、一人ひとりの人生を壊してしまう現実なのだと痛感しました。

しかし現実の世界では、今も戦争が続いています。中東やアフリカでは人々が銃声に怯え、ウクライナでは街が破壊され、家族を失った子どもが泣いています。21世紀の今になっても、人類はなぜ戦争をやめられないのでしょうか。そのことを考えると、私は悔しさと無力感でいっぱいになります。

けれど、だからといって立ち止まってはいけないと思います。私たちにできることは、きっとあります。

第一に、知ることです。戦争について学び、現実を知ること。知識は痛みを伴うこともありますが、その痛みを背負うことが、平和をつくる一歩になります。

第二に、語り継ぐことです。戦争を体験した世代の声は、年々小さくなっています。だからこそ、私たちがその思いを受け取り、次の世代へとつなげる責任があります。もし語る人がいなくなってしまったら、戦争の恐ろしさは過去の出来事として忘れられてしまいます。そうなれば、人間は同じ過ちを必ず繰り返してしまうでしょう。

第三に、日常の中で小さな「平和の選択」を積み重ねることです。意見が違う友達に対して、怒りではなく理解を選びます 。困っている人を見かけたら、ためらわずに声をかける。そういう小さな行動が積み重なれば、「争いよりも共に生きる」社会に近づけると私は信じています。

もちろん、私一人の力は小さいです。けれど、小さな力が集まれば、大きな流れをつくれます。実際、歴史の中でも、市民の声が政治を動かし、戦争を終わらせたことがあります。私たちの声や行動は決して無駄ではありません。

私は思います。平和を守るとは、特別なことではありません。日常を大切にすること、その日常が当たり前ではないと気づくこと。朝の「おはよう」、友達との笑い声、未来の夢を語る時間――それらすべてが、平和だからこそできることです。

だから私は、この平和を絶対に失いたくありません。戦争を遠い国の出来事として片付けたくありません。私がハルビンで見た残酷な現実を忘れず、平和を望む心を胸に持ち続けたいと思います。

戦争のない未来をつくるのは簡単なことではありません。けれど、あきらめてしまえば、未来は変わりません。私たちの世代が「平和を受け継ぎ、守り、つなげていく世代」になれるように。私はこれからも、声を上げ、行動し続けたいです。(文・丹羽心美)

コンテストについて

中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年を記念し、中華人民共和国駐新潟総領事館が主催し、新潟県日中友好協会、山形県日中友好協会、福島県日中友好協会、宮城県日中友好協会、中国国際航空仙台支店、中国東方航空新潟支店、中国南方航空新潟支店が協力したエッセイコンテストが2025年7月から9月まで行われた。「歴史を教訓に、未来を共創する」をテーマとした同コンテストには、作品計41編が寄せられ、審査委員会による選考の結果、17編が入賞した。作品には歴史を銘記し未来へ向かう提言が数多く示され、中日双方が手を携え、アジア運命共同体の構築を共に推進していくことへの期待が込められていた。

「人民網日本語版」2026年4月30日

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