加害の立場にあった日本人であることを深く反省しつつ、その上で中国の人々と「人間同士」として真の友情を育む努力を続けた佐藤康行氏。その生涯にわたり中日の平和友好活動に携わってきた姿や、若い世代の誰よりも勤勉に、真剣に平和の大切さを語り続けた姿は、今も作者たちの心に残っている。
私たちは長年、佐藤康行さんとともに日中の平和友好活動に携わってきた者です。この戦後80年という節目にあたり、佐藤さんの歩みと、その背中から私たちが学び続けたことを、ここに記しておきたいと思います。
佐藤康行さんは1927年、福島県に生を受け、わずか17歳で戦争に巻き込まれる形で中国大陸へ渡られました。1945年、敗戦を迎えたその地で、彼は思いもよらぬ出会いを果たします。中国八路軍の幹部が語った「あなた方は我々の友人です。敵ではありません。あなた方をここまで送った軍国主義者たちこそが有罪なのです」という言葉に、佐藤さんは心を深く動かされました。そして、19名の仲間を引いて共に八路軍に加わり、看護兵として数え切れぬ負傷兵の治療にあたられたのです。灯油ランプの明かりで夜を徹し、弾痕の痛みに耐える兵士たちに寄り添いながら、戦争の悲惨さと人間の尊厳とを心に刻まれました。
その後、1953年に帰国されてからの佐藤さんの人生は、日中の平和と友好のために捧げられました。関東日中平和友好会の設立に携わり、1997年には福島県日中平和友好会を創設、自ら会長に就任。河北省や上海、北京、武漢などとの交流を深め、農業・養殖技術の交流や青少年の相互訪問、さらに経済的に困難な学生への支援にも力を注がれました。訪中のたびに、現地の方々と真摯に向き合うその姿は、まさに「心から中国を愛する人」そのものでした。
1999年には中国・湖北省人民対外友好協会との正式な交流合意を結び、以後、武漢や赤壁などを幾度も訪問。現地の家庭に宿泊しながらの草の根交流を通して、相互理解と信頼を深めました。この交流には、妻・淑さんも深く関わりました。当初は理解が難しかった中国との友好活動も、現地の人々とふれあい、語らう中でその意義を実感し、佐藤さんと志を共に歩む存在となりました。彼女は、佐藤さんにとって最も信頼できる理解者であり、人生を支えるかけがえのない同志でもありました。
また、来日した中国人留学生への支援にも、特別な情熱を持って取り組まれました。アパート探しや生活相談に親身に応じ、中国語教室を開いて文化と言葉の橋渡しをし、毎年秋には芋煮会を開催。日本人学生と中国人留学生を招いて語り合い、芋煮を一緒に囲めば、寒い冬も乗り越えられる――そう語っていた佐藤さんのまなざしは、いつも温かく、優しさに満ちていました。
佐藤さんの語る戦争体験は、決して怒りや憎しみに満ちたものではありませんでした。「人を苦しめて勝てるはずがない。憎しみを憎しみで返してはいけない」――佐藤さんは、加害の立場にあった日本人であることを深く反省しつつ、その上で中国の人々と「人間同士」として真の友情を育む努力を続けました。
私たちが佐藤さんから最も強く学んだことは、「信念をもって歩み続ける力」と「他者の痛みに共感し、寄り添う優しさ」でした。90歳を超えても自律した生活を送り、私たち若い世代の誰よりも勤勉に、真剣に平和の大切さを語り続けたその姿は、今も私の心に鮮烈に残っています。
佐藤さんはまた、芸術の人でもありました。若いころから書道に秀でており、90歳近くになってもなお筆を執り、「百寿」の文字を一気に書き上げるその筆致は、美しさと強さを兼ね備えたものでした。晩年には自学で絵を描くようになり、東日本大震災後には、被災した人々の魂を慰めるために、心を込めて描いた作品を寄贈されました。その絵には、ただ美しいだけでなく、励ましと祈りが込められており、多くの人々の胸を打ちました。
2011年には福島県に平和記念碑を建立し、後世へのメッセージを石に刻まれました。さらに2013年には、NPO多文化互恵創造ネットの設立に携わり、晩年も「本当の平和を勝ち取るということ、それは素晴らしいことだ」と語り続けました。
戦後80年。私たちは、再び戦争の危機や排外的な言論が頭をもたげる現代に立っています。だからこそ、佐藤さんのような存在の意義はますます大きくなっているのです。戦争の記憶を風化させず、人と人との真の友好を育むことこそ、未来への責任だと私は思います。
佐藤さん、どうか天から私たちを見守っていてください。あなたの残した種は、私たちがしっかりと育てていきます。日中両国の若者が、あなたの思いを受け継ぎ、新しい平和の架け橋となる日を信じて――。(文·安藤伸幸 程子学 黄同軍)
コンテストについて
中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年を記念し、中華人民共和国駐新潟総領事館が主催し、新潟県日中友好協会、山形県日中友好協会、福島県日中友好協会、宮城県日中友好協会、中国国際航空仙台支店、中国東方航空新潟支店、中国南方航空新潟支店が協力したエッセイコンテストが2025年7月から9月まで行われた。「歴史を教訓に、未来を共創する」をテーマとした同コンテストには、作品計41編が寄せられ、審査委員会による選考の結果、17編が入賞した。作品には歴史を銘記し未来へ向かう提言が数多く示され、中日双方が手を携え、アジア運命共同体の構築を共に推進していくことへの期待が込められていた。
「人民網日本語版」2026年5月14日
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