「ハイブリッド米の父」故・袁隆平氏の墓前に新米を供えたガンビアの男性

人民網日本語版 2025年06月13日16:49

ガンビアの農民・ムサさんは今月11日、自分の農場で今年できた新米を供えながら、「ハイブリッド米の父」と呼ばれる中国工程院院士の故・袁隆平氏の墓前で、「袁教授、あなたの蒔いた種が、ガンビアで実を結んだ。私たちはもう飢えてはいない」と語りかけた。ムサさんは、田んぼでコンバインが収穫を行う様子を描いた油絵も持参し、「これは、ガンビア初のオール機械化農場で、私の農場だ」とした。

袁氏率いるチームに師事して、ハイブリッド米技術を学んだ「アフリカの弟子」であるムサさんは、袁氏の墓前で、「袁教授は英語で、私に『米は、地に足をつけて育てなければならない。一粒の種が世界を変える』と繰り返し教えてくれた。その言葉は今も私の心に焼き付いている。袁教授が話していた『ハイブリッド米を世界に普及させる』という夢は今、ガンビアで現実になっている」と 神妙な面持ちで語りかけていた。

ガンビアは長年にわたり、農業技術不足に悩まされ、機械化の水準の低さと水稲の作付規模の小ささから、米は主に輸入に依存していた。

2018年、父親が亡くなったことが原因で、米国で仕事をしていたムサさんはアフリカの生まれ故郷に帰り、父親の農場を継いだ。「最初のうち、技術指導者を見つけることができず、1年目の水稲の作付面積はわずか3ヘクタールだった」とムサさん。

その後、袁隆平農業ハイテク股份有限公司に所属する黄智氏率いるチームが、ガンビアを訪問し、自ら田んぼを耕し、田植えを行い、収穫し、加工して、その技術を伝えた。

米作りについて経験を語り合う黄智氏とムサさん。

米作りについて経験を語り合う黄智氏とムサさん。

1台目の田植機が田植えを始めた時、ムサさんは、「父親の世代なら想像もできなかったことで、奇跡だ」と気持ちを高揚させたという。

その後、ムサさんの農場は、5年間で3ヘクタールから100ヘクタールまで拡大したほか、周辺の農家の農場2000ヘクタールにも益が及んだ。以前は、手作業で脱穀していたものの、今では全ての作業が機械化され、以前は低迷していた単位面積当たりの収穫量は、1ヘクタール当たり平均7トンへと急増した。これは現地の平均生産量の2—3倍に相当する数字となる。

ムサさんの農場

ムサさんの農場

今回ムサさんが湖南省長沙市を訪問したのは、袁氏の墓参りをするほか、6月12-15日の4日間にわたり開催される「第4回中国・アフリカ経済・貿易博覧会」に参加するためだ。

ムサさんは、「ガンビアの土地はとても肥沃であるものの、技術や設備が不足している。農業機械や食糧加工といった面の先進的経験をじっくり学んで、現地でハイブリッド米や農業機械の普及を促進したい」と語った。(編集KN)

「人民網日本語版」2025年6月13日

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