ラブブの爆発的人気の理由は「ブサカワ」?
中国のアートトイブランド「POP MART(ポップマート)」が打ち出したキャラクターグッズ「LABUBU(ラブブ)」 が最近、世界中で大ブレイクしている。中国国内だけでなく、バンコクやパリ、ニューヨークなどの専門店の前には長蛇の列ができ、中古市場ではその価格が何倍にも高騰している。この「ブサカワ」のモンスターのぬいぐるみが今、アートトイファンの心を鷲掴みにしている。人民日報海外版が伝えた。
初めてラブブを目にしたとき、その魅力がどこにあるのかわからないという人も多いかもしれない。ラブブは、「かわいい」や「かっこいい」といった従来のぬいぐるみにありがちなイメージを打破しており、鋭い歯が特徴的でありながら、その眼差しはピュアで、ヤンチャそうに見えるものの、温かな心の持ち主で、全体的なデザインは誇張されているようで、ディティールにこだわっている。こうした強烈な「ギャップ」が、ラブブのインパクトを強め、忘れがたい印象を与え、近年の中国のおもちゃ市場において、際立つ存在のデザインになっていると言ってもいいだろう。
ラブブのデザインは、個性を表現することを切望している若者の心を鷲掴みにしており、その感情に関するニーズをうまく洞察して、引き出している。リアルでありながら、個性的なものが非常に好まれる今の時代に、面白みに欠けた「パーフェクト」なデザインは、好まれなくなっている。ぬいぐるみは、バービー人形のように、「完璧」でなければ売れないわけではない。ラブブの誇張されたバランスやコミカルな表情、どこかヤンチャなイメージなど、パーフェクトではなく、ちょっとくせのあるキャラが、逆にリアルで、より生き生きとした魅力を与えている。そのようなデザインとコンセプトのラブブは、単に部屋や机に飾るぬいぐるみとしてではなく、若者がアイデンティティを見出し、感情を表現する手段となっている。
そしてその製造にも工夫を凝らしている。新材料や新たな製法が採用されているわけではなく、現有の技術や材料をうまく組み合わせて、ラブブは作り出された。デザイナーが現有の要素を用いて、組み合わせをいろいろと変えながら、全く新しい価値を生み出すことができるというのが、工業デザインの魅力だ。羽なし扇風機がヒット商品になったのが、その典型的な例で、新技術が発明されたわけではないものの、新たな発想を取り入れて、扇風機の形態を再定義し、必要な機能をキープしながら、革新的な体験を実現し、消費者の購買意欲を引き出した。
メイド・イン・チャイナは今、クリエイテッド・イン・チャイナと中国智造(中国のスマート製造)へとステップアップしており、革新的なデザインが、そのモデル転換のカギとなる原動力となっている。その過程において、ラブブのように、破壊的技術が誕生したわけではないものの、デザインを通して、もともとは一般的であったものに新たな生命力を吹き込んだ商品がもっとたくさん誕生することが望まれる。それは、中国の製造業のモデル転換・高度化の通るべき道なのかもしれず、製造の優位性をキープしながら、革新的なデザインを通して、新たな成長スペースを切り開くことができるかもしれないからだ。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年6月17日
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