中国が多国籍企業の人気投資先となった理由は?

人民網日本語版 2025年06月27日09:41

(画像著作権はCFP視覚中国所有のため転載禁止)

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商務部(省)研究院が先ごろ発表した報告書「中国における多国籍企業」は、経済のグローバル化の調整が進む中、中国は全方位的かつ多角的な戦略的優位性によって、多国籍企業にとって人気の投資先となっていると指摘した。さまざまな機会が結びつく中、中国市場は多国籍企業にとって、長期的な資本価値の増加とコア競争力の強化を可能にするためのより大きな価値空間を提供している。2024年末時点で、外資系企業が中国において投資し設立した企業の累計は123万9000社以上、累計の実行ベース外資導入額は20兆6000億元(1元は約20.2円)に達した。

なぜ中国は多国籍企業の人気投資先となったのか。

■スケールの優位性

ーー消費高度化と整った産業システムの相乗効果

6月25日、エアバスは北京市で中国民用航空総局との協力40周年記念イベントを開催するとともに、「エアバスA310保全・活用プロジェクト」の開始を発表した。この40年で、すでに中国はエアバスにとって民間機部門における最大の単一国市場となり、両者の協力関係は機体の設計・製造・組立・運営支援から、退役後の解体・再利用に至るまで、航空機のライフサイクル全体を網羅するものとなった。

6月18日には、フエニックス・コンタクトの中国法人が、江蘇省南京市で第2フルバリューチェーン・ギガファクトリーの建設プロジェクトを開始。総投資額は10億元、延べ床面積は約5万5000平方メートルに及び、完成後5年以内に生産能力が3-4倍に拡大する見通しだ。

南京大学商学院教授で中国(江蘇)自由貿易試験区研究院院長の韓剣氏は「中国市場のスケールメリットは、需要側だけでなく供給側にも現れている。需要面では、規模が大きく多層的という中国市場の優位性が、外資企業に広大な市場空間を提供している。供給面では、中国は整ったサプライチェーン・システムと製造システム、強大な生産能力を擁し、すでに世界最大規模の高速鉄道網と高速道路網、世界レベルの港湾群を完成させ、効率的で便利な物流・配送を実現しており、多国籍企業の生産コストと連携の難度を著しく下げることができる」と分析する。

■環境の優位性

ーー安定した政策環境と多層的な開放構造の相互促進

6月17日、バイエルは画像診断部門の開発した高圧注射システム及びその付属機器が、北京市薬品監督管理局の中国製医療機器登録証を取得したと発表した。バイエルによる中国製医療機器登録証の取得はこれが初だった。

ドイツのヘンケルも、2021年に5億元余りを投資して上海市に接着剤のグローバルR&Dセンターを設立。2023年に山東省黄渤海新区にグリーン高規格接着剤の産業化拠点を建設し、今年3月には江蘇省太倉市の化粧品生産拠点を本格稼働するなど、近年中国への投資を集中的に行い、中国市場を有望視する多国籍企業の縮図となってきた。

専門家によれば、中国は長期にわたり政治的に安定し、社会が安全で、政策に一貫性があり、外資系企業に安定的で予測可能なビジネス環境を提供してきた。とりわけ対外開放政策においては、自主的開放や一方的開放を秩序よく拡大し、多国籍企業のために先見性と柔軟性のある発展空間を創出してきた。

■イノベーションの優位性

ーー豊富な応用シナリオと技術の世代交代・高度化が互いに融合

取材する中で、多くの外資系企業は、豊富な応用シナリオとイノベーションの原動力育成によって、すでに中国がビジネスモデルの実験場、技術革新の発生地となっており、世界最大規模のシナリオ型イノベーション・エコシステムを形成していることに言及した。

報告書「中国における多国籍企業」によれば、2023年に商務部と科学技術部(省)が「外資による研究開発センター投資・設立をさらに奨励するための若干の措置」を発表して以来、外資系企業は中国におけるR&D拠点の設立を強化し続けている。

統計によれば、2025年5月時点で、上海にある外資系R&Dセンターは累計603ヶ所に達している。2024年に北京で新たに認定された外資系R&Dセンターは110ヶ所余りで、2025年1月時点で外資系R&Dセンターの数は倍増し、221ヶ所に達した。(編集NA)

「人民網日本語版」2025年6月27日

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