新疆産綿花が「変身」して世界へ 製品だけでなく技術も

人民網日本語版 2025年07月01日10:50

新疆維吾爾(ウイグル)自治区石河子市の綿花畑では、力強く育つ綿の苗が陽光を浴びてすくすくと成長している。畑の中にはさまざまな観測装置が点在し、同市の綿花作物はこれらの機器の助けを借りて正確に質を高め、さらに高付加価値の新素材へと「変身」し、海外市場で高い評価を得ている。世界に進出しているのは製品だけではなく、現地で培われた技術も含まれる。中国新聞社が伝えた。

スマート農業:綿の正確な品質向上を支援

新疆天業智慧農業科技有限公司の馬占東社長は6月28日、「綿花栽培でスマート農業管理システムを導入すると、1人で200−300ムー(約13.3から20ヘクタール)の綿花畑を管理できる。一方で、従来の方法ではせいぜい約30ムー(約2ヘクタール)程度に限られていた。スマート農業は、労働単位当たりの農地管理効率を大幅に向上させている」と述べた。

馬氏が言うスマート農業とは、農地に各種の測定装置を設置し、リアルタイムで虫害、地下水、気象などのデータをモニタリングし、栽培経験をデータ化して関連する栽培モデルと比較することで、デジタル化された栽培意思決定を形成することだ。

新疆石河子市の綿花畑で28日、稼働中のスマート害虫予察灯。 撮影・王晶

新疆石河子市の綿花畑で6月28日、稼働中のスマート害虫予察灯。 撮影・王晶

馬氏によると、スマート農業により農地の装置を遠隔操作できるようになった。そして、「農家は自宅にいながらスマートフォンで作物の輪番灌漑を実行でき、綿花栽培の効率を大幅に高めることができる。また正確な綿花畑データにより作物の品質が正確に向上し、その品質と収量はいずれも従来の方法で栽培された綿作物を大きく上回る」と述べた。

新疆石河子市の綿花畑で28日、作物の生育状況をリモートセンシングでモニタリングするドローンが巡回を終え、帰還した様子。 撮影・趙婧姝

新疆石河子市の綿花畑で6月28日、作物の生育状況をリモートセンシングでモニタリングするドローンが巡回を終え、帰還した様子。 撮影・趙婧姝

高付加価値加工で綿花が新素材へと「変身」

石河子市から東へ約15キロメートルに位置する新疆昌吉回族自治州瑪納斯(マナス)県では、記者は高品質な新疆産綿花がいかに「作物から新素材製品」への変貌を遂げるかを目にした。

加硫繊維板(通称:鋼紙)は、綿実に含まれる短繊維(リンター)を高度に加工して作られるハイテク新素材だ。高強度と柔軟性を兼ね備えており、強度が高いが、高速運動下では比較的柔軟であるため、これによって作られた鋼紙研磨ディスクは、船体や車体などの鋼鉄の研磨によく使われる。さらに絶縁性にも優れているため、5G基地局、新エネルギーバッテリー、新エネルギー車の一部のバッテリーの隔離材などに幅広く用いられる。この新素材から作られた最終製品の繊維含有率が99%に達し、自然分解可能で、環境にやさしい。

新疆源一科創有限公司で28日に展示された、新疆産綿花を原料に製造した加硫繊維板。 撮影・趙婧姝

新疆源一科創有限公司で6月28日に展示された、新疆産綿花を原料に製造した加硫繊維板。 撮影・趙婧姝

新疆源一科創有限公司は中国西北地域で加硫繊維板を製造・加工している唯一の企業だ。同社の胡越社長は6月28日、「当社が使用する綿花はすべて新疆産。製品の国内市場シェアは約45%に達し、国内外からの注文が相次いでおり、生産が追い付かない状況だ。今年の売上高は約8000万元(1元は約20.0円)に達する見込みだ」と述べた。

農産物としての新疆産綿花はハイテクの高付加価値加工により新素材製品に「変身」し、産業チェーンの拡大および製品価値の飛躍を実現した。

世界進出:製品だけでなく技術も

胡氏によると、同社の加硫繊維板製品の半分近くがアジアやヨーロッパなどの国々に輸出されており、主な輸出先は韓国、イタリア、トルコ、インドなどで、直接輸出額は売上高の約35%を占めている。

世界に広がっているのは新疆産綿花で作られたハイテク新素材製品だけでなく、新疆の広大な農地で誕生したスマートな綿花栽培の経験も含まれる。

新疆天業農業研究所の王聖毅所長は6月28日、取材に対し、「当研究所が所属する新疆天業(集団)有限公司は、石河子市を拠点に節水灌漑技術を研究し、『一帯一路』共同建設国にその技術を普及させている。そしてスマート農業の設備と技術を全体として輸出し、一帯一路共同建設国における影響力を高めていきたい」と語った。

王氏はさらに、「フィルム下点滴灌漑技術はスマート農業発展の基礎技術で、綿花に限らず、トウモロコシ、小麦、トマト、唐辛子などの作物にも応用可能。当研究所は現在すでに17カ国に20カ所の実証拠点を設立しており、同技術が普及・展開されている面積を100万ムー(約6.7万ヘクタール)近くに達している」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年7月1日

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