中国、世界初の火星サンプル実験室を建設へ

人民網日本語版 2025年07月02日15:31

現在、深宇宙探査実験室(天都実験室)は中国科学技術大学と共同で火星サンプル実験室の技術プランに関する詳細な論証を進めており、プロジェクトの立ち上げに向けた最終段階に入っている。そして建設にはおよそ4~5年を要する見通しで、2030年の完成と試験運用開始が予定されていることが1日、同実験室への取材で分かった。中国新聞網が伝えた。

深宇宙探査実験室の合肥本部(資料画像提供:深宇宙探査実験室)

深宇宙探査実験室の合肥本部(資料画像提供:深宇宙探査実験室)

深宇宙探査実験室は、国家航天局(中国国家宇宙局)、安徽省、中国科学技術大学の三者が共同で設立した機関であり、世界の宇宙科学技術の最先端と、中国の宇宙強国戦略のニーズに対応し、深宇宙探査分野における国家重要科学技術プロジェクトや国際的なビッグサイエンス計画をめぐり、戦略的、先見的、基礎的な研究を行い、科学、技術、工学の融合発展を目指す新たな研究開発機関として、22年2月25日に安徽省合肥市で発足した。

同実験室の研究員であり、火星探査ミッション「天問3号」計画の惑星防護システム技術責任者である于秉坤氏は、「中国は現在、初の火星サンプルリターンミッション『天問3号』を計画中だ。火星サンプル実験室と月面サンプル実験室の最大の違いは、火星には生きた微生物が存在する可能性がある点にあり、高度なバイオセーフティ保護能力が必要となる。これにより、地球環境を火星由来の未知の微生物による潜在的な脅威から守るとともに、火星サンプルの科学的価値が地球の汚染によって損なわれるのを防ぐことができる」と説明した。

于氏は、「現在のところ、国際的にはこのような施設はまだ存在しておらず、中国が世界初の火星サンプル実験室を建設する見込みだ。ここでは、世界初の火星サンプルが保管されることになり、極めて貴重な存在となる。中国内外の数多くの研究機関や学者が合肥に集まり、協力・交流を進める拠点として機能し、中国の深宇宙探査、特に火星探査分野における影響力と発言力の大幅な向上が期待されている」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年7月2日

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