変化する広西・漓江 生態環境保護の取り組みが奏でる「新しい漁歌」
広西壮(チワン)族自治区を流れる漓江について語る時、最近は以前とは違った新しい切り口で語られるようになった。
かつての漓江は、ディーゼルエンジンを積んだ竹のいかだが大きな音を立て、汚水が直接流れ込み、過剰な漁獲で魚がどんどん少なくなり、過度な伐採で両岸の植生が破壊されていた。今では、鳥の鳴き声や水しぶきの音が耳に届き、観光客は山と水が織りなす生き生きとした自然の景色を心から楽しめるようになった。
漓江の山と緑の間を航行する遊覧船。(撮影・雷琦竣)
このような漓江の変化は、一日で成し遂げられたものではない。
第14次五カ年計画(2021~25年)期間に、同自治区桂林市は最も厳格な保護制度を実施し、多方面が協力して「漓江生態環境保護防衛戦」を継続的に展開した。沿岸の採石場を全面閉鎖にし、違法な砂採取の拠点をなくし、漓江の中州にあった魚料理レストランを撤去し、流域の養殖禁止エリアを設定し、養殖場1千ヶ所以上を操業停止にした。
2022年以降、桂林漓江風景名勝エリアはデジタル漓江5G融合生態保護利用総合プラットフォームプロジェクトの建設を全面的に推進し、漓江の生態環境に対し、全面的で、全流域に及ぶ、フルカバーの保護と整備を行ってきた。今や、沿岸に廃棄されていた船舶はすべて片付けられ、いけすを使った魚の養殖はすべて取り締まられ、秩序なく並んでいた5000台以上のいかだは整理され、1210台の合法的な電動いかだに変わった。
昨年の夏休みシーズンには、竹のいかだが全面的に「ディーゼルオイルから電気への改良」を果たし、1キロメートルあたりの運航コストが1.5元(1元は約20.7円)から0.55元に下がり、63%低減された。年間のバッテリー充電・交換での電力使用量は250万キロワット時で、二酸化炭素(CO2)排出量が2492.5トン削減された。漓江景勝地全体について言えば、毎年、燃料費を約1600万元節約でき、節約できた資金は沿岸の生態修復にあてられた。
漓江の風景を楽しもうと、竹のいかだに乗り込むスペインからの観光客。(撮影・雷琦竣)
漓江の生態環境改善は、沿岸の村の生活を直接牽引した。漁業従事者は陸に上がって仕事ができるようになり、いかだ職人になったり、民泊施設を開業したり、郷土料理レストランを開いたり、撮影モデルをしたりするようになった。今でも漁業従事者は山や川から生活の糧を得ているが、その方法が変わったのだ。
船に乗って素晴らしい景色を楽しむ観光客。(撮影・雷琦竣)
漁業従事者のモデル転換が実現した背景には、陽朔県漓江景勝地管理有限公司が構築した「上陸ルート」プランがある。同社は漁業従事者を優先的に雇用して景勝地で雇用するようにし、売り上げの10%を生態補償費用に充て、沿岸に暮らす人々が自宅にいながら収入を得られるようにした。
いかだ操縦者の鄭海波さんもその1人だ。鄭さんは「以前、漁をしていた時は、食事は魚ばかりで身体がいつも魚臭かったが、今では煮込んだ骨付き肉もよく食べるようになり、冷蔵庫いっぱいに肉をストックしている」とした上で、「今のいかだ操縦の仕事は、繁忙期には月収が7000元から8000元にもなり、漁業をしていた時より収入が増えた」と目を輝かせた。
竹のいかだを操縦する鄭海波さん。(撮影・梁章暉)
同公司の黄金峰副社長は、「魚を捕って生計を立てていたのが、観光で食べられるようになり、さらに今は生態環境で食べていけるようになった。漓江の人々の肩にかかる責任は、美しい自然を守り、より豊かな観光資源とより優れた生態環境を次の世代に残すことであり、尽きることのない生態環境がもたらすメリットを子や孫の代のために残すことでもある」と述べた。(編集KS)
漓江の風景。(撮影・雷琦竣)
「人民網日本語版」2025年7月18日
注目フォトニュース
関連記事
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257 Mail:japan@people.cn