外国人の目で見た海南封関運営

人民網日本語版 2025年12月02日10:44

海南省の「封関運営」が今年12月18日から本格的に開始する。開始前1ヶ月のタイミングで同省の総合保税区や輸出入関連企業、人材支援プラットフォーム、国際教育イノベーション試験区、そして免税城など関わりのある施設や企業などを取材した。

「封関」とは?

「封関」という日本人にはあまりなじみのない漢字からは、「税関を封じる」というイメージを抱いてしまうかもしれない。改革開放の一環であるのに、なぜ「封」じるのか?そんな疑問を抱きながら、その仕組みを紐解いてみた。

「封関運営」とは島内でゼロ関税をはじめとする高度な自由化政策を実施する制度を指す税関用語。海南島は「中国の国境内にありながら、関税の対象外」という特殊な位置付けとなり、自由貿易港として国際的な開放度を大きく高めることになると期待されている。

つまり「封」は、「封じる」というよりは、海南島を「囲い込んで」、その関税を管理するというイメージ。しかも囲い込んで管理するのはあくまで大陸部と海南島の関係上のことであり、海南島自体は海外にむけて、さらに開放され、海外との貿易・資金・人の移動を大幅に自由化し、輸入時の利便化を図ることになる。そして「囲い込まれた」島内でも、貨物・資金の流通は原則自由となり、消費商品の関税免除などにより、免税ショッピングや物流拠点としての利便性が高められることになる。

これがいわゆる「一線開放」と「二線管理」、そして「島内自由」という「封関運営」の3つの柱となる。

洋浦国際コンテナターミナルに積み上げられたコンテナ(撮影・玄番登史江)。

洋浦国際コンテナターミナルに積み上げられたコンテナ(撮影・玄番登史江)。

封関運営の実施によって海南省にもたらされる利点は多い。まずゼロ関税による輸入コストの低減は、企業にとって大きな魅力となる。加えて、自由な流通が進むことで、金融・物流・製造・サービス業など幅広い産業にとって新たなビジネスチャンスが生まれると期待されている。

そんなビジネスチャンスを求めて、外国籍人材も次第に海南に集まっている。なかでも、海口国際人材の家の活動は、同じく中国で働く外国人として興味を抱いた。ここでは外国籍人材起業インキュベーション研修クラスを通じて、外国籍人材の起業をサポートしているほか、海南で暮らす外国人が現地に溶け込めるように、文化イベントやボランティア活動などを行っている。こうしたプラットフォームを設けることで、政策面だけでなく、より温もりのある受け入れが行われていることをうらやましく感じた。

三亜国際免税城で買い物を楽しむ人々(撮影・玄番登史江)。

三亜国際免税城で買い物を楽しむ人々(撮影・玄番登史江)。

開始まで1ヶ月を切り、封関運営に関連する話題も少しずつ増え、海南が大きな制度変更に向けて準備を進めている空気感が伝わってきた。制度そのものは専門的で、外部からすべてを把握することは難しいが、封関運営を機に海南がどのように変化していくのか、今後もその動向に注目していきたい(文・玄番登史江)。

「人民網日本語版」2025年12月2日

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