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気候や経済、文化などの違いから、陜西人は衣食住や交通の面で独自の方式を生み出してきた。そのうち風変わりな10の習慣は「陜西十大怪」と呼ばれている。省中部の関中地区を特に指す時は「関中十大怪」と呼ばれることもある。
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陝西(関中)の十の不思議―ベルトのように幅広い扯麺

扯麺はbiang-biang(現代中国語の辞書にこの字は存在しない)麺とも呼ばれる。正式な扯麺は幅が2-3寸(約7センチから10センチ)、長さは約1メートルにも達し、厚さは硬貨ほどある時や、セミの羽ほど薄い時もある。麺1本で1回の食事には十分だ。関中の住民が麺を食べる時は、麺は好みに応じて打ち、厚く幅広く切るのを好む。こうした麺は食べると滑らかで柔らかく、こしがある。美味しいだけでなく腹持ちもよい。

陝西(関中)の十の不思議―鍋蓋のごとき中華ナン

この地方には、鍋蓋のような迫力の中華ナン「グォクィ」がある。言い伝えによると、唐代の大型墓地・乾陵の建造の際、労役についた軍人や職人がしばしば、食事に時間を取り過ぎて工事を遅らせ、処罰を受けていた。それである兵士は時間の節約のため、小麦粉生地を入れたカブトを火に放り込んでパンを焼いた。そのことから鍋という字の「グォ」とカブトを指す「クィ」を合わせた名前のこの「グォクィ」が生まれたのだという。

陝西(関中)の十の不思議―トウガラシがメイン料理に

「辣子」とはトウガラシだが、多くの地域では調味料にしか用いないこのトウガラシを、陝西の「油溌辣子」では立派な料理にしている。「油溌辣子」は見た目が赤く美しく、香りが高く、食べると辛く、麺料理とも主食のパンにも合う。陝西人は「油溌辣子とbiangbiang麺の取り合わせがおいしい」と語り、陝西省の家庭では一般に入り口に赤いトウガラシがたくさん吊り下げられている。

陝西(関中)の十の不思議―お盆と区別がつかないような大きなお椀

陝西の人は食事の時、耀州産の白磁染付の直径33センチ近い大きなお椀を使うのを好む。現地で「老碗」と呼ばれるこうした椀は小さなお盆より大きなものが多く、お盆とお椀の区別がつかないという言い方が生まれた。

陝西(関中)の十の不思議―頭に載せたハンカチ

陝西(関中)地域では、羊のお腹のような形をしたハンカチをかぶり、対襟(前ボタン式で襟が前で合わさる)の夹袄(綿入れの上着)を着た高齢の男性や女性が、頭に黒や白のハンカチを載せている姿をよく見かける。陝西地区は綿花産業が盛んで、現地では綿のハンカチを頭に載せて埃や雨を避けたり、汗や手を拭いたり、物を包んだりする経済的で便利な習慣がある。

陝西(関中)の十の不思議―半分建てられた家

多くの家屋の屋根が「人」字形をしているが、陝西省の家の屋根は「人」字の片側しかない。陝西省は乾燥して雨が少ないため、このあたりで建てられる家は貴重な雨水を全て自分の家の田畑に集めるようにこうなっているという。また土地の面積に限りがあり、人口が多く、住居が密集しているため、こうした屋根の家を建ててきたとも言われている。

陝西(関中)の十の不思議―よその土地へ嫁がない若い女性

陝西(関中)地区は土地が肥沃なため、生存のために異郷へ行く人は非常に少ない。そのため「老不出関(潼関)、少不下川(四川)」(高齢の人は関中を出ず、若い人は四川へ行かず)という言い方がある。長い間、男性がよその土地へ出かけないだけでなく、女性たちもよその土地へは嫁ぎたがらない。

陝西(関中)の十の不思議―座らずしゃがむ

陝西(関中)の男性たちは一日三食しゃがんで食事を済ませる。人々が料理の入ったお椀を手に集まり、しゃがんで食べながら世間話をし合うことは現地で「老碗会」と呼ばれる。一度しゃがむと1時間以上もその姿勢を保ち、冬は背中を陽に向け日向ぼっこか将棋。こうして関中では「しゃがむ」習慣ができていったという。他地域からは「椅子に座らずしゃがむ」人々と呼ばれた。彼らがしゃがむのは、実は仕事の途中にしゃがんで休憩をしたことに由来する。

陝西(関中)の十の不思議―枕は石

陝西の夏は暑く、寝苦しい夜には農家の男たちはレンガか石を枕に寝る。地元の人々はこれを金にも代えられない大切な睡眠法だと冗談めく。陝西の人々の石枕に対する思い入れの深さが窺える。陝西の人々は後頭部が平らな人が比較的多いといわれるが、これは先祖代々石枕で寝ていることに関係があるという説もある

陝西(関中)の十の不思議―吼えるような大声の劇

この地域の劇といえば秦腔を指す。秦腔の特徴は調子が激しく強烈なことだ。特に花瞼(浄役)の歌声は大声で、現地住民からは「頭が割れそう」、他の地域の人間からは冗談交じりに「秦腔を演じるなら、まず揺れで崩れないように舞台は頑丈にし、次に疲れて病気にならないように役者は丈夫でなければならず、さらに観客はびっくりさせられないように気が強くならなければならない」と言われている。演じる俳優は赤い顔に太い首で、火を吐くかのような大声で演じ、観客は「やみつきになる」、「満足」、「素晴らしい」と感想を語る。