前漢の列侯墓園・海昏侯墓が発掘

江西省南昌市で、盗掘用の穴の発見により、保存状態が史上最も良好な前漢列侯墓園・海昏侯墓が見つかった。5年間の発掘調査を経て、墓園、陵墓、都の遺跡といった最も豊富な中身を持つ漢代の侯国集合遺跡が、人々の前に姿を現した。

前漢・海昏侯墓、文化財の「集中治療室」を取材

来源:人民網日本語版(2016-01-19 14:20)

  江西省南昌市にある前漢・海昏侯墓の箱詰めされた主棺が、文化財保管室に運ばれた。考古学者はここで、内棺の実験室内での考古発掘作業を行う。この部屋は海昏侯墓遺跡の西側から1キロ以内にあり、敷地面積は約4000平方メートル。発掘された文化財は直ちに文化財保管室(計5部屋)に送られ、緊急処理を受ける。[详细]

出土した金器の整理を行う文化財保管室の作業員。

前漢・海昏侯墓の考古実験室、文化財を復元

来源:人民網日本語版(2016-01-11 10:15)

  発掘調査の現場にあるのは、刷毛、竹ぐし、白手袋ばかりではない。まるで現代的な工場のような作業現場もある。江西省南昌市にある前漢・海昏侯墓の考古実験室は5日、作業に忙殺されていた。そのままの形で運び出された文化財が木箱に入れられ、日の目を見るのを待っている。[详细]

前漢・海昏侯墓の主棺、実験室内での整理段階に

来源:人民網日本語版(2016-01-06 10:17)

  注目を集めていた江西省南昌市にある前漢・海昏侯墓の主棺(棺床を含む)の箱詰めが、1月5日に完了した。箱の底は鋼板で出来ており、東北地区から運ばれた松の木が使われている。体積は約4立方メートル、重さは約4トン。専門家チームは先月30日、発掘現場での議論の末、内棺の文化財が複雑に堆積しており、多くの玉器が副葬されていることから、文化財の安全を保証するため、主棺全体を取り出し実験室内で整理作業を行うこと[详细]

海昏侯墓の主棺、285枚の金の延べ板が発見 史上最多

来源:人民網日本語版(2015-12-25 13:32)

  江西省南昌市にある前漢海昏侯墓の主棺の発掘現場で24日、主棺の内棺・外棺の間から96枚の金餅(金の円形の延べ板)、いくつかの馬蹄金、麟趾金(当時の貨幣の一種)が発見された。金餅は計285枚見つかっている。考古学の専門家によると、この金餅の発見量は漢王朝の墓の発掘調査のうち最多であり、墓の主が尊い身分であったことを裏付けた。[详细]

南昌市の海昏侯墓、主は前漢の第9代皇帝劉賀か

来源:人民網日本語版(2015-12-24 16:06)

  竹の札には「論語」が書かれており、墓の主の身分が初代海昏侯・劉賀であることが初歩的に確定されたーー。江西省南昌市で12月23日、前漢大墓の学術シンポジウムが開かれた。国内の数十人の秦・漢王朝に詳しい権威ある専門家が、発掘調査を高く評価した。国家文物局専門家チーム長、秦・漢王朝考古学専門家の信立祥氏は、「今後は学者による研究の掘り下げを踏まえた上で、学者の研究成果を本にまとめ、前漢大墓の専門書を出版[详细]

・海昏侯墓とは?

 江西省南昌市新建区大塘坪郷にある「前漢海昏侯墓園」は、海昏侯と侯夫人の墓を核心とする大小9つの墓と馬車の副葬跡からなっており、総敷地面積は約4万平方メートルにおよぶ。中国で発見された前漢(紀元前206年-8年)時代の上層階級の墓所としては、最も保存状態が良く、構造がそのまま残り、機能がはっきりとしている。北回廊は衣笥(着物を入れる箱)庫、金庫、食料庫、楽器庫、酒器庫に、西回廊は武器庫、書庫、娯楽用品庫、東回廊は調理器具庫、南回廊甬道両側は車馬庫、甬道は楽車庫に分かれている。
5年間の発掘調査を経て、すでに2万点余りの文物が発掘されており、その文物から前漢時代の貴族の生活を再現することができ、歴史的価値と芸術的価値が非常に高い。

・盗掘を免れられた理由は?

  • 古文書によると、東晋の時代に江西で大地震が発生し、この海昏侯墓の自然の防護壁を形成した。西暦318年に豫章郡で発生した大地震により、海昏など豫章郡の県が鄱陽湖に沈んだ。海昏侯墓の墓室が崩れ、地下水に埋もれた。当時の人々が水中の墓を荒らす条件を備えていなかったことから、墓は盗掘を免れた。

・注目度が高いのはなぜ?

  • 南昌大学国学研究院の周斌・副院長によると、前漢海昏侯墓の考古学的発見は、南昌市の歴史や文化の研究だけでなく、中国の古代文化の研究においても大きな意義を持つ。現在、この墓に埋葬されているのは海昏侯の家族と関係がある人物とほぼ確定しており、前漢の第9代皇帝で初代・海昏侯の劉賀である可能性が高い。漢の時代に内部抗争などにより廃位されたため、諡号や廟号を持たない皇帝をめぐる事件は、前漢の歴史において非常に重要な意味を帯びているものの、文献資料が乏しく、はっきりしない事が多い。そのため、今回の発掘によって、多くの事件の詳細を明らかにする資料が見つかるのではと期待が高まっている。発見されている大量の簡牘(かんどく)は、中国古代の書籍をさらに校訂、理解する助けとなるほか、大量の副葬品も古代の歴史研究に証拠を提供している。