江西省南昌市の前漢海昏侯墓の主棺の開棺が20日に行われ、発掘作業員が保存状態の良い内棺を確認。外棺と内棺の間から、大量の古代貨幣・馬蹄金や玉製品、竹や木の漆器などが発見された。海昏侯墓園は、南昌市新建区大塘坪郷に位置し、総敷地面積は約4万平方メートルにおよぶ。中国で発見された前漢(紀元前206年-8年)時代の上層階級の墓所としては、最も保存状態が良く、構造がそのまま残り、機能がはっきりとしている。これまでに、海昏侯墓からは各種文化財が2万点以上出土している。
最近、中国のネット上では、「南昌前漢大墓」の検索数が上位に上がっている。その理由は、主墓の大きさや保護状態の良さ、埋葬されているのが海昏侯であるなどのほか、出土した文化財の多さ、そのレベルの高さなど、さまざまだろう。同発掘には、低酸素の状態を保って発掘し、出土した重要な文化財の保護や修復する技術を採用している。同技術は、中国の考古学界では、初めての使用となった。
また、南昌大学国学研究院の周斌・副院長によると、前漢大墓の考古学的発見は、南昌市の歴史や文化の研究だけでなく、中国の古代文化の研究においても大きな意義を持つ。現在、この墓に埋葬されているのは海昏侯の家族と関係がある人物とほぼ確定しており、前漢の第9代皇帝で初代・海昏侯の劉賀である可能性が高い。漢の時代に内部抗争などにより廃位されたため、諡号や廟号を持たない皇帝をめぐる事件は、前漢の歴史において非常に重要な意味を帯びているものの、文献資料が乏しく、はっきりしない事が多い。そのため、今回の発掘によって、多くの事件の詳細を明らかにする資料が見つかるのではと期待が高まっている。発見されている大量の簡牘(かんどく)は、中国古代の書籍をさらに校訂、理解する助けとなるほか、大量の副葬品も古代の歴史研究に証拠を提供している。
「人民網日本語版」2015年12月23日