FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022の決勝戦が現地時間の12月18日にカタールで行なわれ、アルゼンチンがフランスを破って優勝すると、アルゼンチン国民の盛り上がりはピークを迎えた。アルゼンチンにとって36年ぶり3回目の優勝は、同国の経済にどのような意義を持つだろうか。
英国のサリー大学が行なった最新の研究によると、W杯の優勝国はW杯閉幕後の2四半期に0.25ポイントの想定外の経済成長を達成することが多いという。
しかし中国社会科学院ラテンアメリカ研究所経済研究室の岳雲霞室長は、「アルゼンチンの優勝は精神的な意義が実質的な意義より大きい。アルゼンチンには目下、国内政治と経済をめぐる挑戦が次々に現われているが、今回の優勝が短期的に国民の士気を高め、団結を強めるだろう」との見方を示した。
それと同時に岳氏は、「W杯優勝は結局は短期的な出来事に過ぎず、アルゼンチン経済の現状が根本的に変わるわけではない。長期的に見れば、やはりアルゼンチンの経済発展そのものに立ち返る必要がある」と強調した。
岳氏はアルゼンチンの来年の経済情勢について、次の3つの重要な要素を挙げた。
1つ目は国際市場におけるコモディティ価格だ。国際コモディティ価格が相対的に安定すれば、アルゼンチンが直面する輸入インフレをある程度抑制でき、政府には国内の経済発展を推進し、経済の内在的原動力による支えを増やすゆとりができる。
2つ目は世界の新型コロナウイルス感染症の動向だ。アルゼンチンを含む中南米諸国は感染症から徐々に抜け出して、常態に戻りつつあるが、中・短期的にみれば、感染症はグローバル経済・貿易の回復に引き続き大きな影響を及ぼしている。このことは来年のアルゼンチンの経済成長の環境にとっても挑戦を意味している。
3つ目は政治的要因だ。アルゼンチンでは来年に大統領選挙が行なわれる予定で、これまでは大統領選挙の年には国内政治さらには社会安全の不安定要因が増大することが多い。こうしたことは経済に打撃を与える可能性がある。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年12月21日