ドローンが養蚕農家に代わって「山を駆け巡りカイコの引っ越し」
遼寧省農業科学院蚕業科学研究所がこのほど明らかにしたところによると、国家蚕桑産業技術体系柞蚕飼育技術ポスト科学者プロジェクトの支援を受けて、同研究所がカイコの引っ越し用ドローン、繭の効率的なかきとり装置、柞蚕の浄卵選卵装置などの柞蚕生産機械システムの開発に成功した。関連成果は世界の同分野の研究でトップレベルにあると評価されている。「科技日報」が伝えた。
繭のかきとりとカイコの引っ越しは柞蚕の生産で重要なプロセスであり、強度の高い労働プロセスでもある。ここ数年は若い労働者が不足して、農家の中にはこうした高い労働強度の作業を行うことができず、これが収入を増やし富をもたらすプロジェクトだとわかっていながらこの仕事を諦めざるを得ない人も出てきた。このことは遼寧の柞蚕産業が大きく強く発展することを極めて大きく制約してもいた。国家蚕桑産業技術体系柞蚕飼育技術ポスト科学者で同研究所副所長の李喜昇氏は、「カイコの放し飼いで、養蚕農家は25kg以上あるカイコかごを背負って繁殖地の山を頻繁に登ったり下りたりしていた。繭のかきとり、柞蚕の飼育樹の輪作などのプロセスでもたくさんの人手と物資が必要だが、農村は高齢化と人手不足の問題に直面している。産業の規模が小さくないのに、なお従来の作業方法が踏襲されていた」との見方を示した。
産業の発展における問題点に直面して、同研究所は瀋陽金豊春航空科技有限公司などの企業・機関とともに、2016年からドローンによるカイコの引っ越しといった軽量・簡易・高効率の柞蚕生産機械システムの開発・製造を進めてきた。同研究所が開発したシステムのうち、ドローンによるカイコの引っ越しのための輸送装置は作業効率が人による引っ越しの7倍に迫った。李氏は、「ドローン本体と物を積載するユニットが有機的に結びつき、養蚕農家はもう山を登ったり下りたりする大変な作業をしなくて済み、ドローンが農家に代わって『山を駆け巡りカイコの引っ越しをする』ことに成功した」と述べた。
これまで1回につき数十分から時には数時間もかかって人が行っていたカイコの引っ越しが、ドローンならわずか数分でできる。全プロセスの中で、ドローンは空中でホバリングすることも、直接地面に下りて貨物を積んだり下ろしたりすることもでき、操作は非常に簡単だ。直線距離で260mの引っ越しでテストを行ったところ、ドローンは1回の輸送にかかる時間が4.6分で、1時間にカイコ300kg近くを移動させることができ、人による輸送より効率が6.68倍に達している。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年11月20日
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