前漢の銅分格鼎(南京博物院所蔵)
前漢の「銅分格鼎」は、この時代の仕切りがある銅製の鼎として中国国内で初めて出土したものであるだけでなく、これまでに出土した唯一のものでもある。
商・周時代にわたって、銅製の鼎は最も重要な国家の礼器(祭礼に用いられる器・道具)と見なされてきたが、前漢になると食べ物を煮るという本来の用途で再び使われるようになった。いろいろな種類の肉を食べたいが、違う種類の食材が混ざるのは嫌だということで、手先の器用な前漢の人々はこのような仕切りのある鼎を設計した。
こだわりのグルメは、火鍋を食べる時の鍋を極めるだけでなく、つけだれ調味料にもこだわっていたようだ。前漢の人はつけだれのおいしさを保つ「秘密兵器」ともいえる「染器」を使っていた。これは調味料を加熱する器で、古代において調味料は「染」と呼ばれていたため、その名が「染器」と呼ばれている。「染器」の上部にある皿のような「耳杯」に調味料を入れ、その下にある炉の部分に火を入れて加熱することで、温かいものを好んで食べる習慣のあった当時の人々のニーズに応えていた。(編集KS)
中国の文化財は語る
博物館は人類文明を保護し、伝承する重要な場。博物館に所蔵されている文化財は埃をかぶった骨董品ではなく、いずれも民族の生きてきた証となる生きた伝承だ。「中国の文化財は語る」では毎回博物館に所蔵されている文化財の紹介を通じて、文化財に込められた中国の文化と精神について紹介していく。
「人民網日本語版」2024年1月10日
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