山東省の漁港の街で生まれた年間生産高24億円以上の「巨大蒸しパン」とは!?

人民網日本語版 2024年02月05日16:29

旧暦の12月になると、山東省青島市は、雪が舞い、寒風が骨身に染みるような季節となるものの、嶗山の麓にある王哥荘街道(エリア)では、湯気がモクモクと立ち上がり、それと共にほんのり甘い小麦の香りが漂っている。

重さが1.5キロにもなる王哥荘の伝統的な「大マントウ」(撮影・王宇軒)。

重さが1.5キロにもなる王哥荘の伝統的な「大マントウ」(撮影・王宇軒)。

湯気がモクモクと漂う作業場に並ぶ蒸しセイロには、コミカルなデザインの竜や福の字がデザインされた袋、モモやトラといったまるでぬいぐるみのように可愛らしい蒸しパンの「饅頭(マントウ)」が並んでいる。マントウは、山東省ではお馴染みの主食で、王哥荘の「大マントウ」は中国では非常に有名で、マントウ界の「ボス」とも呼ばれている。

色も形もバラエティに富んだ飾り蒸しパン「花餑餑」(撮影・王宇軒)。

色も形もバラエティに富んだ飾り蒸しパン「花餑餑」(撮影・王宇軒)。

漁港の街で生まれた500年の歴史誇る「大マントウ」

中国の北方エリアは、小麦の生産が非常に盛んであるため、その主食は小麦粉で作る食品がメイン。なかでも「マントウ」は重要な地位を占めている。しかし、嶗山の麓にある王哥荘街道は、漁業をメインとしていて、地元でも有名な漁港で、小麦を栽培する畑はない。それにもかかわらず、「王哥荘大マントウ」は、500年の歴史を誇っており、その「グルメの奇跡」は人々を驚かせている。

小麦のほんのりと甘い香りを漂わせる作り立ての「王哥荘大マントウ」(撮影・王宇軒)。

小麦のほんのりと甘い香りを漂わせる作り立ての「王哥荘大マントウ」(撮影・王宇軒)。

ネットユーザーの間で話題となった「大マントウ」と自分の顔の大きさを比べる女優・舒淇(スー・チー、写真提供元・微博図片)。

ネットユーザーの間で話題となった「大マントウ」と自分の顔の大きさを比べる女優・舒淇(スー・チー、写真提供元・微博図片)。

「王哥荘大マントウ」の最大の売りはもちろんその「ビッグなサイズ」だ。巨大「マントウ」の重さは、軽いものでも500グラム、重いものなら1.5キロにもなり、サイズは茶碗ほどのものから、洗面器ほどのものまである。

しかし、「王哥荘大マントウ」の魅力はその大きさだけでなく、その特有の美味しさにもある。ある「マントウ工房」のオーナーは、「『王哥荘大マントウ』は、専用の小麦粉や嶗山のミネラルウォーターを使い、手作業で捏ね上げ、薪を使う鉄製のセイロで蒸し、焼く作り方に秘訣がある。嶗山のミネラルウォーターを使わなければ、この美味しさを作り上げることはできない」と説明する。

小麦粉を捏ね上げる時には必ず使用するという地元・嶗山のミネラルウォーター(撮影・王宇軒)。

小麦粉を捏ね上げる時には必ず使用するという地元・嶗山のミネラルウォーター(撮影・王宇軒)。

鉄製のセイロで蒸して焼くというのが伝統的な「王哥荘大マントウ」の作り方で、そうすることで鉄のセイロに触れている「マントウ」の底がこんがりと黄金色に焼き上がる。それは「黄金底」と呼ばれており、「王哥荘大マントウ」にしかない「シンボルマーク」ともなっている。

出荷するために袋詰めにされた、底がこんがり焼き上げられた「大マントウ」(撮影・王宇軒)。

出荷するために袋詰めにされた、底がこんがり焼き上げられた「大マントウ」(撮影・王宇軒)。

2023年末の時点で、王哥荘街道には、「大マントウ工房」が160軒以上あり、大きな産業クラスターが形成されている。そして、「大マントウ」の生産量は年間約1万4400トン、生産高は約1億2000万元(1元は約20.7円)に達した。

悠久の歴史を誇る「大マントウ」に吹き込まれる革新の息吹

素晴らしい未来を願う思いが込められたカラフルで豪華な「大マントウ」(写真提供・王哥荘街道)。

素晴らしい未来を願う思いが込められたカラフルで豪華な「大マントウ」(写真提供・王哥荘街道)。

王哥荘街道は膠東地区に位置し、飾り蒸しパン「花餑餑」も悠久の歴史を誇り、結婚式や長寿を祝う重要な場で、多種多様な「マントウ」がセレモニー感を演出している。

ただ、社会が発展するにつれて、伝統的な「花餑餑」だけでは、市場のニーズを満たすことができなくなっているため、「王哥荘大マントウ」は熾烈な市場の競争を勝ち残ろうと、伝統に新たな革新の息吹を吹き込んでいる。

ウサギをデザインした可愛らしい「花餑餑」を見せる阿九さん(撮影・王宇軒)。

ウサギをデザインした可愛らしい「花餑餑」を見せる阿九さん(撮影・王宇軒)。

伝統的な「しんこ細工」の技術をベースにして、大胆なイノベーションに挑む「マントウ」職人が現在増えている。例えば、「李記鴻福マントウ」の生産工場の責任者・阿九さんは、飾り蒸しパンの研究と生産に取り組んでいる。彼女は、時代の流れにしっかりと乗り、干支や福の字がデザインされた袋、獅子をデザインした「醒獅」、若者にも目出度いアイテムとして人気の「錦鯉」といった中国の伝統要素を飾り蒸しパンに取り入れ、見た目に優れ、価格的にもリーズナブルな新しいタイプの「花餑餑」を作り上げている。

豊かさを示す金塊「金の元宝」をモチーフにした「花餑餑」。金運と幸運の願いを込め、なかには小さなサイズの「金の元宝」が8個入っている(撮影・王宇軒)。

豊かさを示す金塊「金の元宝」をモチーフにした「花餑餑」。金運と幸運の願いを込め、なかには小さなサイズの「金の元宝」が8個入っている(撮影・王宇軒)。

阿九さん率いるチームは、栄養や健康を重視する消費者のニーズに積極的に合わせ、それまで使っていた着色料をやめて、カボチャやドラゴンフルーツ、ホウレンソウといった野菜や果物のパウダーなどを使って着色するようになった。そうすることで、カラフルな美しさを保ちながら、栄養バランスもよく、ヘルシーな飾り蒸しパンを作ることができるという。(編集KN)

現在最もよく売れているという干支の竜をデザインした「花餑餑」(撮影・王宇軒)。

現在最もよく売れているという干支の竜をデザインした「花餑餑」(撮影・王宇軒)。

「福」の字がデザインされた袋の形の「花餑餑」(撮影・王宇軒)。

「福」の字がデザインされた袋の形の「花餑餑」(撮影・王宇軒)。

飾り蒸しパンコンテストで披露されたワタリガニをリアルに再現した「マントウ」(写真提供・王哥荘街道)。

飾り蒸しパンコンテストで披露されたワタリガニをリアルに再現した「マントウ」(写真提供・王哥荘街道)。

恋人の誕生日用の特製デザイン「王哥荘大マントウ」(写真提供・王哥荘街道)。

恋人の誕生日用の特製デザイン「王哥荘大マントウ」(写真提供・王哥荘街道)。

「人民網日本語版」2024年2月5日

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