動物園でじっくり遊ぶ「zoo walk」が中国の若者の間で人気に

人民網日本語版 2024年05月11日13:44

「サル1匹を見るのに並んだ時間は3時間」や「入園料に数十元(1元は約21.5円)、グッズ購入費には1000元以上」など、中国の若者は最近、動物園に注目するようになっている。多くの人が子供の頃、「これはキリン」や「あれはライオン」といったように動物たちを次々見て回っていたのとは異なり、今の若者はテーマパークで遊ぶかのように没入型で動物園を楽しむ。そしてこうした遊び方を「zoo walk」と呼んでいる。

若者の心を捉えた「ブサかわ」シロガオサキ

江蘇省南京市の紅山森林動物園で、薛晶さんは念願のシロガオサキの「杜杜(ドゥドゥ)」を見ながら、「ブサかわいくて、なぜか私の心を捉えて離さない」とした。メーデー5連休中に、南京市を訪れた観光客は前年同期比22.4%増の延べ1000万人を超えた。そんな南京の各観光スポットの来場者ランキングを見ると、紅山森林動物園はトップ5に入っている。

ある若者は、「『zoo walk』はまるで一服の良薬のようで、その自然溢れる環境で、私の『自然欠乏症』を癒してくれる」としている。実際、都市化がますます進むこの時代に育った若者の多くが今、「zoo walk」を楽しみ、自然に触れ、生き生きとした動物たちの姿を見るため、動物園を訪れている。統計によると、2023年、紅山森林動物園の来園者のうち、20-30歳の若者が約6割を占めていた。

(写真著作権は東方ICが所有のため転載禁止)

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これら「zoo walker」たちにとって、動物園とは一度行くだけで、世界各地の異なる雰囲気を存分に楽しむことができるコストパフォーマンスに優れたお出かけスポットになっている。先ごろ、広東省の広州長隆野生動物園では、豪雨に見舞われ、キリンやシマウマの群れが雨宿りのため大移動する圧巻の光景が見られた。ある若いネットユーザーは、「ケニアに行くお金が無い訳じゃなく、広州の動物園のほうがよりコストパフォーマンスに優れているから。『メイド・イン・チャイナ』だけど、そのスケールはアフリカに引けを取らない」といったコメントを寄せている。

「自然」と「自由」にあこがれて

動物園というと、「子供たちの楽園」というイメージを抱いている人も多いかもしれないが、実際は動物園に行く人の年齢層はますます広がり続けている。まず、動物園は元々、年齢を問わず楽しむことができる場所だ。さらに仕事や日常生活といった「バトル」に心身共に疲れ切った大人たちもまた「自然」や「自由」をより追い求めている。なぜなら、あるネットユーザーが寄せたコメントのように、「動物園では、あくびをするトラを見ても、まるで心地よい春風を浴びたような気分を味わうことができる」からだ。

(写真著作権は東方ICが所有のため転載禁止)

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また、交通アクセスがより便利になり、多くの人が気軽に出かけることができるようになっている。移動時間が短くなり、料金も安くなっているため、やや辺鄙な場所にある大型のサファリパークにも、気軽に行けるようになり、住んでいる所とは別の省にある動物園でも、行きたい時にすぐに行けるようになっている。

南京市の紅山森林動物園では、江蘇省常州市から来たという大学生・徐文迪さんが、「ほら!カピバラ!」とワクワクした様子でカメラを構えて写真を撮影していた。そのレンズが捉えていたのは、草をむしゃむしゃと食べるカピバラの姿だった。何事にも執着せずに、マイペースでのんびりとしているカピバラは今、中国で人気を集めており、様々なデザインのカピバラ・ステッカーも作成され、同様に高い人気を誇っている。

上海から来たという男性・葉さんは、「あの落ち着きっぷりが羨ましいくらい。いつもイライラして、ちょっとしたことでカッとなってしまう自分のようなサラリーマンとは違う。のんびりと暮らし、まるですでに悟りを開いているかのように落ち着いているカピバラは、まさに憧れの存在。ああいう生き方が理想」と話す。

「zoo walk」ブームに乗って、人気者の動物をモチーフにした文化クリエイティブグッズを打ち出して一稼ぎする動物園も増えている。紅山森林動物園の文化クリエイティブ館では、広東省から来た劉さんと黄さんが、レッサーパンダがデザインされたバンダナを頭に巻き、文化クリエイティブグッズでパンパンになったバッグを抱え、さらにその肩にはレッサーパンダのぬいぐるみを載せていた。文化クリエイティブ館では「当館限定販売」となっているブラインドボックスも若者に人気で、すでに一部は売り切れとなっているほど。動物園の職員によると、レッサーパンダやカピバラのキーホルダーは大ヒット商品になっているという。また「zoo walker」たちにより一層楽しんでもらおうと、キーホルダーや置物、ブラインドボックス、凧といった一連の文化クリエイティブグッズのほか、有名ブランドとのコラボ商品も並べられており、SNSなどに投稿することを好む若者のニーズを満たしている。(編集KN)

「人民網日本語版」2024年5月11日

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