考古学の新技術、新たに出土した兵馬俑本来の色を留める
スマート陳列ケースは恒温恒湿機能を備え、文化財の保存に適した展示環境を構築。警備態勢感知プラットフォームは観光客の密度や安全上のリスクをモニタリング……。ここ数年、科学技術イノベーションは考古学の可能性を大きく広げ、コンピュータビジョンや人工知能(AI)などの技術によって、より多くのテクノロジーを駆使した考古学のスタイルが生まれている。人民日報が伝えた。
地下深くに2000年以上埋まっていた秦始皇陵兵馬俑は、出土したばかりの時はそのままの色彩をほぼ留めている。しかし、独特な着色工程が用いられているため、彩色兵馬俑は温度・湿度などの急激な環境変化の影響を受けやすく、色褪せや色落ちが生じてしまう。
兵馬俑の色をより良く留めるために重要なのは、文化財の発掘、輸送、修復、保管などの過程における環境の影響を最大限減らすことだ。
「我々が秦始皇陵兵馬俑2号坑のために設計・構築した考古学発掘・緊急保護システムは、兵馬俑に対して発掘から倉庫に収められるまでの全フローにわたって閉ループ保護を行い、元の色を最大限に留めることができる」。このシステムを研究開発した中国電科集団所属の電科チッププロジェクト責任者によると、同システムは発掘キャビンと実験キャビンから成るスマートシステムとなっている。このうち発掘キャビンは、彩色兵馬俑の発掘エリアにおける全フロー・全エリアで使用が可能で、兵馬俑坑の通路を移動させることができ、分解と組立が可能で何度も使用できる。このシステムにより、彩色兵馬俑は出土後、速やかに全面的な保護を受けることができ、考古学専門家が現場で直接簡単な緊急修復・緊急保護活動を行い、色褪せや色落ちなどの損傷を減らすことが可能となった。
専門家は、「さらに、このシステムには環境制御モジュール、照明モジュール、科学機器搭載プラットフォームなども含まれており、文化財発掘、文化財保護、情報収集、文化財運搬など複数種類の機能が備わっている。これらの画期的な技術により、発掘における人、土壌、文化財のキャビン内での安全かつ効果的な移動・運搬が可能となり、文化財発掘・緊急保護の作業フローが改善・最適化された」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年7月2日
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