中国産AAAゲーム「黒神話:悟空」が12ヶ国で1位! 人気のワケは?
「悟空」を開発した「ゲームサイエンス(GAME SCIENCE)」公式サイトのスクリーンショット
中国初の国産AAAゲーム「黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)」が、8月20日に世界同時リリースされた。中国製ゲーム売上ランキングを見ると、「悟空」は同日20時の段階で売り上げが450万ダウンロードを超え、売上高も15億元(1元は約20.4円)を超えた。ゲーム関連プラットフォームのSteam(スチーム)がまとめたデータでは、リリースから1時間もしないうちに、オンライン同時接続人数は100万人を突破した。人数は20日夜になっても増え続け、最高で220万人を突破して、今年1月にリリースされたオープンワールドサバイバルゲーム「幻獣帕魯(パルワールド)」を抜いた。現在はSteamプラットフォームの全ゲームオンライン同時接続人数の最高人数ランキングで2位になっている。
「悟空」を開発した「ゲームサイエンス(GAME SCIENCE)」公式サイトのスクリーンショット
米ゲーム関連企業のValve(バルブコーポレーション)が発表したSteamプラットフォームの最新週間売上ランキング(2024年8月6-13日)を見ると、「悟空」は世界ランキングでトップに立った。米国、シンガポール、タイ、カナダ、ブラジル、イタリアなど12ヶ国のランキングでもトップを占めている。
なぜこれほど人気か?
「黒神話:悟空」は中国の古典小説「西遊記」が題材で、プレイヤーは「天命人」というキャラクターになり、古い伝説に隠された真相を明らかにするため、危険と不思議に満ちた西への旅路をたどる。
(画像は「ゲームサイエンス(GAME SCIENCE)」公式サイトより)
「悟空」は中国初の本格的国産AAAゲームで、国産ゲームの制作基準も定義し直した。これまでAAAゲーム市場は日本、米国、フランスなどのゲーム会社に独占されていた。
業界では、「このゲームは完成度が非常に高いことに加えて、『孫悟空』というスーパーキャラクターの魅力もあって、人気ゲームに必要な要素が集まっており、グローバル市場でも高い競争力を持つ」とされている。グローバルゲーム評価サイトのMetacritic(メタクリティック)がまとめた統計では、8月19日現在、世界の54メディアによる採点は平均82点だった。中でも権威あるメディアのIGN中国は満点を付け、「このゲームは中国ゲーム産業において画期的な意義を持つ。真の意味でグローバル市場に投入された高い競争力を持つ中国国産ゲームだ」と高く評価した。
(画像は「ゲームサイエンス(GAME SCIENCE)」公式サイトより)
ゲーム自体の質が優れているだけでなく、西遊記の文化的価値も多くのプレイヤーを引きつけている。発売前から海外でも注目を集め、一部の国のプライヤーはこのゲームをプレイするために英語版「西遊記」を読み始めたという。かつて「メタルギア」や「デス・ストランディング」などの名作ゲームを制作した日本のゲームクリエイターの小島秀夫氏はXで、「最初のトレーラーを観てから、ずっと気になっていたタイトル」と発信した。
さまざまなコラボと関連グッズが人気
8月3日、中国のワイヤレスコントローラーメーカーの八位堂(8BitDo)が「悟空」のグローバル公式協力パートナーになり、コラボしたコントローラーを共同で発売することを明らかにした。現在、このコントローラーはECサイトの京東で2万個を売り上げ、品切れになっている。八位堂は品切れ状態に対応するため、第2弾の予約受付をスタートするという。
今年4月、海信(ハイセンス)視像科技股份有限公司は「悟空」のグローバル公式協力パートナーになった。両者は海信のU8、E8、U7、E7シリーズなどのテレビや「27G7K Pro」ディスプレイを巡って、技術協力を展開するという。
「悟空」はゲーム産業だけでなく、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)ともコラボして新たな人気商品を生み出した。8月19日、両者はコラボ商品「黒神話騰雲アメリカーノ」を発売し、指定のセットを購入すると関連グッズを数量限定でプレゼントする企画も打ち出した。グッズは発売されるとすぐに完売し、「瑞幸が黒神話悟空とコラボ」の話題も検索でトレンド入りした。
「悟空」で伝統文化ブームが再燃
中国は世界最大のゲーム市場で、2023年の売上高は3000億元を超えたが、シェアの中心はスマホゲームだった。こうした状況から、画面が美しく、制作技術がトップレベルの国産AAAゲームを体験することが、中国のプレイヤーの願いになっていった。
(画像は「ゲームサイエンス(GAME SCIENCE)」公式サイトより)
没入感あふれる「世界レベル」のゲームを制作するため、「悟空」を開発した「ゲームサイエンス(GAME SCIENCE)」は数年の時間を費やし、中国各地の歴史的景勝地をロケハンし、実景スキャン技術を利用して、古い建築物や彫刻などをゲームに落とし込み、一連の技術的処理を施して、本物と区別が付かないほどリアルなゲーム画面を作り出した。
ネットでは、さまざまな楽器で「悟空」のテーマ曲を演奏する人や、「悟空」に登場する景勝地の歴史を紹介する人、さらには「西遊記」の各キャラクターのエピソードを細かく解説する人もいて、中国伝統文化ブームが再燃している。動画サイト「bilibili」(ビリビリ)の動画クリエイターの于峻輝氏は、「こういう作品がもっとたくさん出てきてほしい」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2024年8月22日
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