1トンの月土壌で50kg超の水を生成 中国の科学者が発見
月土壌の過熱過程における水と金属鉄の生成過程と各種主要鉱物の水分含有量の比較
中国の研究チームは、月探査機「嫦娥5号」の月土壌が高温酸化還元反応法により水を生成できることを発見した。これは未来の月科学研究拠点及び宇宙ステーションの建設に重要な設計根拠を提供する見込みだ。同成果に関する論文は22日、国際的学術誌「創新(Innovation)」に掲載された。新華社が伝えた。
同成果は中国科学院寧波材料技術・工学研究所アモルファス合金磁気電気機能特性研究チームが、中国科学院物理研究所、中国宇宙技術研究院銭学森宇宙技術実験室、松山湖材料実験室、哈爾浜(ハルビン)工業大学、南京大学などの大学及び科学研究機関のチームと共同で行った。
水は月科学研究拠点の建設や未来の月への星間旅行において、人類の生存を保証する重要な資源だ。嫦娥5号の月土壌のガラス、斜長石、カンラン石、輝石など複数の鉱物には少量の水が含まれているが、極めて少量なため、月その場で抽出し利用することは困難だ。
科学研究チームは3年間にわたる綿密な研究と検証により、月土壌の鉱物が太陽風の数億年の放射を受け、大量の水素を蓄えていることを突き止めた。水素は高温に加熱されると、鉱物中の酸化鉄と酸化還元反応を起こし、金属鉄と大量の水を生成する。温度が1000℃以上に上がると月土壌が溶解し、反応によって生成された水は水蒸気の形で放出される。
研究チームは複数種類の実験・技術の分析により、1トンの月土壌で約51−76kgの水を生成できることを確認した。これはほぼ50人分の1日の飲料水需要を満たすことができる。
研究チームは上述した研究成果に基づき、「月土壌を溶かし、水蒸気を凝縮させて水の収集と貯蔵を行い、水の電気分解により酸素と水素を作り、残った鉄と月の土壌を永久磁石、軟磁性材料、電子材料、建築材料などに用いる」という月の水資源その場における開発・利用戦略を打ち出した。研究者によると、同戦略は未来の月科学研究拠点及び宇宙ステーションの建設に重要な設計根拠を提供するとともに、今後の嫦娥月探査任務で検証目的の設備を打ち上げることでさらなる確認を行う見込みだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年8月23日
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