ニアゼロカーボンからゼロカーボンへ 海南省のボアオが切り開くグリーンな未来
海南省瓊海市に位置する博鰲(ボアオ)鎮東嶼島は、ボアオ・アジアフォーラムの開催地として知られているが、近年、ボアオ・ニアゼロカーボンモデルエリアの建設で注目を浴びている。記者はこのほど同モデルエリアを訪れ、抽象的な「ゼロカーボン」の概念を実感した。
2025年1月7日、ボアオ・ニアゼロカーボンモデルエリアの幹線道路を走行する新エネルギー自動車。道路の片側には太陽光発電とエネルギー貯蔵を一体化したスマート街路灯があった。撮影・王暁斌
「ニアゼロカーボン」のモデルエリアとは?
ボアオ・ニアゼロカーボンモデルエリアは中国初のドイツエネルギー機関(DENA)から「ゼロカーボン運営エリア認証」を取得したプロジェクトであり、中国住宅・都市農村建設部(省)と海南省が共同で推進するグリーン・低炭素モデルプロジェクトでもある。中核エリアは博鰲鎮東嶼島に位置し、総面積は約1.8平方キロメートル。技術イノベーションと建築物のグリーン化により低炭素都市の建設を推進し、世界のグリーン発展における中国の牽引的役割を示すのが目的だ。
モデルエリアの運営管理センターの大型ディスプレイは、モノのインターネット(IoT)技術とデジタルツイン技術により、8大項目・18小項目のグリーン化成果を可視化していた。中遠海運博鰲有限公司ゼロカーボンデジタル技術革新部の劉洪文エンジニアは、「モデルエリアの炭素排出量は2019年の1万4400トンから23年の470トンに減り、96.2%削減された。この残りの3.8%の炭素排出により、モデルエリアの名称に『ニア』という言葉がついた。これらの排出は主にメンテナンス機器や島に入る化石燃料車などの非ゼロカーボン源からもたらされたものだ」と述べた。
劉氏は、「ニアゼロはゼロではないが、重要な移行段階を反映している。効率的なエネルギー管理と炭素排出削減措置を通じ、モデルエリアはゼロカーボンの目標に近づいている」と述べた。
ニアゼロカーボンを実現するには?
ボアオ・ニアゼロカーボンモデルエリアの低炭素目標は、イノベーションの集積により実現された。モデルエリアは「自然環境、エリアゼロカーボン、資源循環、スマート運営」のコンセプトを守りながら、再生可能エネルギーの利用、建築物のグリーン化、交通のグリーン化、新型電力システムの建設、物資のリサイクル、水資源のリサイクル、園林景観の生態化、運営のスマート化を組み合わせた「八位一体」のエリア炭素削減構造を模索・構築した。
空から眺める海南省瓊海市博鰲鎮東嶼島。(ドローンで撮影、資料画像)撮影・駱雲飛
建築物のグリーン化の面では、域内には海南ボアオ・アジアフォーラム国際会議センター、ボアオ・アジアフォーラムホテル、東嶼島ホテル、ボアオ・アジアフォーラムプレスセンターなどの主要な建築物がある。これらの建築物の更新・改造は大規模な解体や建て替えをせず、構造投資と運営コストの削減という原則に基づき、スマートカーテンウォール開閉パネルと立体的植生日除けを採用し、「ソーラーパネル+防水層+断熱層」一体化屋根に改造。高効率の冷却設備、凝縮熱回収及び水蓄冷設備など一連の技術に交換。
建築物の省エネ及び交通グリーン化を踏まえ、モデルエリアは建築物及び都市施設の「グリーン電力フルカバー」を実現した。これらのグリーン電力は島内の分散型太陽光発電と島外の農業・太陽光相互補完発電所で賄われている。ホテルの中国・西洋料理厨房のすべてが電磁調理器に変更し、年間の天然ガス消費量を53万立方メートルからゼロにしたことは特筆に値する。
ゼロカーボンへの移行は炭素排出の削減や回避にとどまらず、炭素を固定するカーボンシンクの増加も含まれる。造園は都市範囲内の重要なカーボンシンク空間で、微気候を調節し、水資源を節約し、汚染物を削減し、炭素排出水準を間接的に下げることができる。東嶼島の郷土型低炭素緑地造営の大半が、海南島現地の植生と樹種を採用し、「異種混交」の栽培モデルにより、高カーボンシンクの植物群落を構築。瓊海市はさらにマングローブ湿地の体系的な修復を行った。保全用のパイプや自然な潮汐の利用により、楽美湖と万泉河水域の生態連結を実現。内湖の水質を改善するとともに、むき出しの浮き洲を適切に保全し、林・浜・溝・湖の動的変化の湿地構造を形成した。鳥類、魚類、カニなどの多様な生物に良好な生息条件を提供し、完全なマングローブ「生物の連鎖」を構築した。
ニアゼロカーボンの体験とは?
ボアオ・アジアフォーラム国際会議センターの両側に設置された花の形をした風力発電機を見入る観光客。(資料写真)撮影・駱雲飛
実際にはここの「ゼロカーボン」体験は大部分の人にとって知覚できるものではない。ホテルでは照明と給湯にグリーン電力を使用し、レストランでは直火調理をしない。会議場でも、空調や音響などはすべて太陽光発電システムで賄われている。その場にいる人はほんの少しの違いも感じず、知らぬ間に低炭素生活の快適さと利便さを体験することになる。
ニアゼロカーボンモデルエリアの設立やボアオ・アジアフォーラム年次総会などの大型イベントの開催を契機として、東嶼島のグリーン宿泊、グリーン飲食、グリーン会議、グリーン交通手段、グリーンオフィスなどのシーンの応用が絶えず深まっている。脱炭素促進プラットフォームの建設、普及、応用を主軸とした飲食スマート消込、スマート会議電子ネームプレート、東嶼島カーボンキューブ、東嶼島ゼロカーボンコーヒーロボット、接客及び商品配送ロボットを始めとするグリーン・低炭素のテクノロジーイノベーションが注目されている。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年2月12日
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