フェンタニルを口実にした米国の関税濫用は、まさに「内病外治」
米国はいまだにフェンタニルの恒久的な全面規制を実施しておらず、関連する監視・管理措置の実行も遅々として進めず、薬物乱用・麻薬蔓延問題のさらなる深刻化を招いている。フェンタニル危機の根本的原因は米国自身にあるにもかかわらず、米国は繰り返し中国に責任を転嫁し、さらにはこれを口実に中国からの輸入品への関税を大幅に引き上げてきた。米国が行っている国内問題の責任を外国に転嫁する「内病外治」的行為は、自国の問題解決に役立たないばかりか、麻薬対策分野における中米間の協力基盤を損なうものでもある。(人民日報「鐘声」国際論評)
米国政府は、国内の麻薬需要削減、処方薬管理の強化、薬物の有害性に関する教育といった重要な取り組みにおいて無為無策であり、個別対策と抜本的対策を兼ね備える対麻薬政策を打ち出せぬままでいる。米国のPAX sapiensが実施した世論調査では、圧倒的多数の米国人がフェンタニル危機の責任は麻薬密売組織、薬物使用者、そして米国政府にあると考えている。
世界で最も麻薬対策の厳格な国の1つである中国は、フェンタニル類物質を含む全ての麻薬に対して常に「ゼロトレランス」の姿勢を堅持し、国際的義務も責任をもって履行してきた。今年3月、中国は「中国のフェンタニル類物質管理」白書を発表。フェンタニル類薬品の管理、フェンタニル類物資犯罪の厳格な取り締まり、フェンタニル類物資の前駆体の管理の厳格化、科学技術的手段の研究・開発・応用、全体的な管理効果の向上、フェンタニル類物質のグローバルガバナンスなどにおいて中国が行ってきた数多くの取り組みや革新的なノウハウなどの詳細を明らかにした。
中国は国内に大規模なフェンタニル乱用問題が存在しないにもかかわらず、人道的精神に基づき、米国の要請に応じて2019年に世界で初めてフェンタニル類物質を恒久的に全面規制した。この全面規制以降、フェンタニル類物質の中国から海外への密輸・販売事件は摘発されておらず、米国側から中国由来のフェンタニル類物質を摘発したとの通知も受けていない。米国務省の発表した「国際麻薬対策戦略報告」も、「中国が2019年にフェンタニル類物質を全面規制して以降、中国から米国へのフェンタニルまたは類似物質の流入はほぼ確認されていない」と認めている。
近年、フェンタニル類物質の前駆体である化学物質は絶えず変化し、種類も増加しているが、中国は常に前駆体管理、科学的な規制リスト作成、分類管理、厳格な輸出監視・規制の強化を堅持し、その違法な流出を断固として抑え込むとともに、米国やメキシコを含む関係国と、フェンタニル類物質及びその前駆体の流失問題への対応において踏み込んだ協力を続け、顕著な成果を上げてきた。
中米間の麻薬対策協力は、両国の法執行協力における重点だ。2024年に立ち上げた中米麻薬対策協力作業部会は、世界的な麻薬問題に両国が連携して対処するための重要な場となった。中国代表団が訪米してその第1回高官級会合に参加したことも、両国の麻薬対策当局が日常的にホットラインで連絡を保ち、意見交換や会合を定期的に行ってきたことも、麻薬対策と法執行の分野における両国間の対話や協力への実務的な後押しとなってきた。2024年以降、両国は技術交流を重ね、フェンタニル対策における技術的な支えの強化を検討し、技術分野で協力を推し進め続けてきた。
フェンタニル問題を口実に対中関税を引き上げる米国のやり方は、世界貿易機関(WTO)のルールに深刻に違反しており、中国はこれに強い不満と断固たる反対を表明するとともに、すでに必要な対抗措置を講じて、自らの正当な権益を断固として守ってきた。米国と麻薬対策・法執行協力を実施するという中国側の立場は非常に明確であり、平等と相互尊重に基づく対話・協力の実施を望んでいる。米側は事実を尊重し、問題を直視し、自国の利益を守る観点から正しい選択を行い、フェンタニル問題を口実にした中国への圧力、威嚇、恐喝を止めるべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2025年4月28日
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