中国でヘルスケアパンが人気に 病院で並んでパンを買う若者たち
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(写真提供・揚州市中医学病院) |
江蘇省の揚州市中医学病院の食堂は先ごろ、薬膳パンの販売を開始した。発売初日には、パン約1000個が1時間もしないうちに売り切れた。天津中医薬大学第一附属病院・南院区の外来診療ホールにある「薬食坊」で販売されているハスの葉やキバナオウギを使ったパン、ユリ科の植物「麦冬」を使ったトーストなども若者の間で高い人気を集めている。貴州医科大学附属病院の「貴医食堂」では、地域と病院の特色を備えた「ドクダミパン」の発売が始まった。このように、中国では最近、病院が打ち出したヘルスケアパンが大きな話題となり、ネット上で若者に人気の食品となっている。
揚州市中医学病院が打ち出したパンを例にすると、党参、ブクリョウ、トウキといった生薬が原料表に名を連ねており、病院の医療チームと栄養士が半年かけて生み出した革新的成果となっている。これらの薬膳パンは、中国の明代の薬学百科全書「本草綱目」や中国の古典医学書「金匱要略」を参考にして作られており、生薬をうまく使いながら、現代のパンを焼く技術を改良し、パンのふわっとやわらかい口当たりを残しているほか、「気」を補い、血を養う効果や、「滋生養肝」の機能を高める効果などを期待できる仕上がりになっている。
中国には古代から「名医は未病を治す」という言葉があるが、ヘルスケアパンは、中医薬の「医食同源」という理念を現代の生活習慣に合わせて作られた商品で、薬効のある食品を食べて病気を治療するという意味の「寓医于食」という言葉の通り、美味しくて、体にもいい。このような商品が人気になっていることは、今の若者がより健康志向になっていることを示している。今の若者は、病気になったら治療するというよりは、積極的に予防するという考え方に変わっており、中医薬の「未病を治す」という理念が日常生活に溶け込むようになっているのだ。
もちろん、中医薬を他の食品のコラボレーションさせるには、単に混ぜればいいというものではない。「中薬+食品」の模索においては、風味と効能のバランスをうまく取らなくてはならない。効能に重きを置くと、味わいが落ちてしまう。一方、味を追求すると、ヘルスケアという目的が薄れてしまう。新中国スタイルのベーカリーは、効果的な成分を残しながら、美味しく食べることもでき、「良薬は口に苦し」という昔からある課題を、現代の食品加工技術を使ってうまく解決している。
実際には、健康志向のティードリンクから、薬膳菓子、中医薬パンに至るまで、病院で誕生したたくさんの中医薬ヘルスケア商品が市場に進出している。より幅広い視点から見ると、こうしたベーカリーの流行は、現在中国でトレンドとなっている「新中国スタイル」の一端にすぎないと言うこともできる。近年、中国では、衣類からメイクアップ、家具、雑貨、飲食に至るまで、「新中国スタイル」の波が各業界にまで押し寄せており、中国の要素が組み込まれたデザインの人気が高まり続けている。その背後では、今の若者の中で、伝統的なものが好きになる「中国人の血」が騒ぎ始めているという流れがあり、伝統と現代の融合の無限の可能性が示されている。病院で列に並んでパンを購入したり、新中国スタイルの軽食を買い求めたりする今の若者は、実際には、消費という行動を通して、質の高い生活に対するあこがれや、伝統文化を愛する思いを表現しているのだ。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年5月19日
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