731部隊の元隊員の83分にわたる証言映像が中国で初公開

人民網日本語版 2025年07月08日14:03

「七七事変」(盧溝橋事件)を機に起こった軍隊と民衆による全面的な抗戦から88年を迎えた今月7日、中国侵略日本軍第七三一部隊(以下「731部隊」)罪証陳列館は、館内において731部隊の元隊員・胡桃沢正邦さんが生前に証言した際の83分にわたる録画映像を公開した。映像の中で、胡桃沢さんは、731部隊が行った生体解剖、生体実験、細菌戦実施‌などの戦争犯罪を詳細に供述した。新華社が伝えた。

故・胡桃沢正邦さん(写真提供・取材対象者)。

故・胡桃沢正邦さん(写真提供・取材対象者)。

黒竜江省哈爾浜(ハルビン)市中国侵略日本軍細菌・毒ガス戦史研究会の金士成副秘書長によると、胡桃沢さんは731部隊の解剖技手として、結核菌の実験や研究に携わったほか、生体解剖も行ったという。そしてすでに1990年代に亡くなっている。「関東軍防疫給水部留守名簿」によると、胡桃沢さんは、1913年5月生まれで、1944年5月に技手助手になったと記載されていた。

今回公開された映像は胡桃沢さんが1991年8月に、731部隊の悪行について初めて証言した際に録画されたもので、日本の民間の平和団体が保管していた。そして、2024年8月に、日本で731問題について研究する原文夫氏が、罪証陳列館に提供した。

中国侵略日本軍第七三一部隊罪証陳列館に展示されている解剖実験の様子を描いた絵(撮影・楊思琪)。

中国侵略日本軍第七三一部隊罪証陳列館に展示されている解剖実験の様子を描いた絵(撮影・楊思琪)。

胡桃沢さんは、「生体実験される人は『マルタ』と呼ばれ、中国人や朝鮮人、モンゴル人、ソ連人などがいた。特設の監獄には常時40人以上の『マルタ』がいた。死んでいく人もいるので、常に補充されていた」と証言する。

胡桃沢さんは、「私が解剖した人体は300体以上」とし、731部隊の生体解剖班には少なくとも5人おり、1つの班が1日に3体の生体解剖を行っていたという。そして、「切ったら、まだ温かくて、血が噴き出してきた」という。

胡桃沢さんが証言しているように、731部隊が開発したペスト菌、コレラ菌、チフス菌、赤痢菌、炭疽菌などは、1日に2トン生産され、重慶や湖北などでドローンが畑に農薬を散布するかのように、実戦使用された。そして、ペスト菌を誤って吸ってしまった日本の軍医は、12時間もしない間に死んだという。

中国侵略日本軍第七三一部隊罪証陳列館に展示されている解剖技手に贈られたという刀(撮影・楊思琪)。

中国侵略日本軍第七三一部隊罪証陳列館に展示されている解剖技手に贈られたという刀(撮影・楊思琪)。

金副秘書長は、「このような残酷で詳細な証言は、731部隊が人の命を極端に軽視していたことを裏付けている。映像に出てくる、『極秘で、家族にも言えなかった』や『私が解剖に携わったことは、妻も知らなかった』といった情報は、731部隊の任務は非常に秘密裏に行われていたことを示しているほか、その悪行が長年明かされなかった理由の説明ともなっている」との見方を示す。

中国侵略日本軍第七三一部隊罪証陳列館の金成民館長は、「これは、731部隊の悪行を暴露する『生きた証拠』で、歴史の詳細を明らかにしているという点だけでなく、加害者の視点から、日本の軍国主義が国際公約や医学科学研究倫理に著しく違反し、非人道的な悪行を犯したことを暴露している点でも価値がある。この資料は、731問題の研究に必要な情報を補充しており、731部隊の犯罪の全体像を明らかにしている」と指摘した。(編集KN)

「人民網日本語版」2025年7月8日

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