「瑞幸珈琲」や「蜜雪氷城」などの中国発ドリンクブランドの海外進出が加速
「スターバックスもうかうかしてはいられない」
これは、ある米国人記者が、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)のコーヒーを飲んだ後の率直な感想だ。
中国のコーヒーブランドの「瑞幸珈琲」は6月末、ニューヨークに2店舗をオープンした。米国の消費者の多くは、まだこの中国のコーヒーブランドを知らないものの、そのコールドブリューコーヒーに対する評価は高い。また、アイスココナッツラテが好きという消費者もおり、「この品質はスターバックスに全く引けを取らない」としている。
さらにポイントとなっているのは、米国での「瑞幸珈琲」の販売価格は3.45-7.95ドル(1ドルは約146.2円)で、さらに、新規ユーザーはアプリをダウンロードすれば、割引も受けられるため、そのコストパフォーマンスがスターバックスよりかなり高くなっている点だ。
米国に進出し、ニューヨークに2店舗をオープンした「瑞幸珈琲」。
中国市場で逆転劇を演じた「瑞幸珈琲」は今、勢いに乗って海外進出を果たし、すでに成熟したコーヒー市場に挑戦を挑んでいる。
実際には、「瑞幸珈琲」だけでなく、ここ数年ますます多くの中国のドリンク企業が世界進出に乗り出している。
ティードリンクブランド「蜜雪氷城(ミーシュエ)」は、すでに12ヶ国に進出して、5000店舗以上を展開している。また、ミルクティーブランド「霸王茶姫(CHAGEE)」は今年第1四半期(1-3月)、海外に13店舗をオープンさせた。さらに、ティードリンクブランドの「茶百道(Cha Panda)」は韓国や欧州市場に進出し、コーヒーブランドの「庫迪(コッティコーヒー)」や、ミルクティーブランド「喜茶(HEYTEA)」は北米市場への展開を進めている。
海外のSNSでは、中国発ドリンクは海外の若い消費者が競うように体験・共有する新たなトレンドとなっている。
ではなぜ、中国のドリンクブランドが海外市場で人気を集めているのだろうか?
まず、高い能力を誇るデジタル化と効率の良いサプライチェーンがダブルエンジンとなって牽引している点が挙げられる。
「瑞幸珈琲」は、セルフオーダー、非接触での受け取り、現地決済システムとの連携など、中国市場で磨き上げた成熟した運営システムをそのまま海外でも採用している。全プロセスがデジタル化されているため、試行錯誤する際に生じるコストを大幅に削減している。
次に、ローカライズ運営における柔軟な対応能力だ。
「蜜雪氷城」はベトナムでイートインスペースを拡大し、パイナップルレモングラスなどのカスタマイズフレーバーを提供している。また、カザフスタンでの試営業期間中は、「お勧め商品」は設定せず、現地の消費者に「一押し商品」を選んでもらう戦略を採用した。
オーストラリア・シドニーの「蜜雪氷城」の店の前にできた長蛇の列。
最後に、リーズナブルな価格で、入店の敷居を低くしている点だ。
海外では「蜜雪氷城」が1ドル前後の価格設定となっており、コストパフォーマンスが非常に高くなっている。「瑞幸珈琲」もオープニングセールとして、1.99ドルの特別価格とソーシャルメディアをフル活用したことで、あっという間に第一陣となるファンを獲得した。「目新しくて安い」というのが、多くの消費者が中国発ドリンクを選ぶ理由となっている。
さらに、これらのブランドは現在、商品や文化、ライフスタイルを通して、アイデンティティーを伴うソーシャル消費シーンを作り出している点は注目に値する。
「霸王茶姫」は、パッケージデザインや文化体験イベントなどを通して、中国のティードリンクの物語を発信し、「東洋のティードリンク」という文化的シンボルを強調している。「喜茶」は、中国の伝統文化を取り入れた中国風の店舗+ソーシャル性で急速に人気を集め、英国のロンドンといった都市では、長蛇の列ができるほどの人気ぶりとなっている。世界の若い消費者にとって、中国発ドリンクを飲むというのが、中国文化と繋がる手っ取り早い方法になりつつある。
当然ながら、海外進出は常に順風満帆という訳にはいかない。中国国内の競合他社からの挑戦、世界における文化的な壁、中国と海外の監督・管理の違いなど、「新大陸」を開拓するためには、常に的確な戦略的配置、長い目で見ることができる忍耐強い経営が必要となる。しかし確かなのは、今の中国のドリンクブランドは、単なる模倣者ではなく、挑戦者であり、さらには業界の新たなスタンダードを作る存在になる可能性を秘めている点だろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年7月8日
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