「ご飯を食べに博物館へ!」が中国の若者の間で人気に
四川博物院に展示されている青銅器を鑑賞した後に、院内の食堂へ行き、3-12元(1元は約22.0円)の料理をいくつか注文する。アートを楽しみながら、おいしい料理を味わうという博物館めぐりの新たなスタイルが今、話題となっている。新華社が伝えた。
中国では今、「博物館で食事」というのが若者の間で人気となっている。遼寧省博物館で22元の肉も野菜も入った丼や、湖北省博物館の編鐘牛肉麺、内蒙古(内モンゴル)博物院のシュウマイなど、中国各地の博物館は最近、次々と食堂を開設しており、若者たちは博物館に行って文化財鑑賞を堪能するほか、そこの食堂の「各種アイテム」を楽しんでいる。
博物館で提供されている料理は、単にお腹を膨らませる食べ物ではなく、そこには文化財や地域の文化的要素が融合されており、新鮮味のあるものを求め、SNSなどに写真などを投稿するのが好きな若者のニーズに合致している。例えば、河北博物院の「長信宮灯」板麺は、国宝文化財と河北省で有名な麺料理を組み合わせている。湖南省博物館の文化財ムースは、皿方罍といった博物館の代表的な文化財をモチーフにしており、甘いケーキを食べながら、歴史を感じることもできる。殷墟博物館の甲骨文字麺は、オリジナリティあふれる一品で、太い麺に甲骨文字が描かれていて、一口食べるたびに神秘的なムードを感じることができる。

「長信宮灯」板麺、皿方罍ムース、甲骨文字麺(写真はソーシャルメディアから)。
四川博物院の鍾玲副院長によると、博物館の食堂は一般の人が親しみやすい料理を提供することで文化のハードルを下げ、さらにリーズナブルであるため、より多くの人が気軽に博物館に行くことができるようにしているという。またそれにより、博物館の滞在時間が平均1.5-2.5時間伸び、博物館の他のホールを見学したり、文化イベントに参加したりする時間ができ、より多くの人が博物館の展示品や文化に対する理解を深めている。さらに食堂は、茶室やカフェ、読書エリアなども設置して、食後に、お茶を飲んだり、読書を楽しんだりできるほか、無形文化遺産教室や無料講座といった文化イベントに参加することもでき、「文化財鑑賞—食事—レクリエーション—交流」という整ったチェーンが形成されている。
一方で、博物館内に食堂を開設すると、その賑やかな雰囲気が、博物館の静かで厳かなムードを壊してしまい、文化体験が商業化してしまうと懸念する声も上がっている。

湖北省博物館の湖博食堂の様子(11月20日撮影・喩珮)。
その点について、北京第二外国語学院中国文化・旅游産業研究院の呉麗雲教授は、「博物館に食堂を設置すると、元々は博物館をあまり好んでいなかった人も行くようになり、より多くの一般の人が文化を理解する機会となる。一方、博物館は、飲食エリアと展示エリアを合理的にレイアウトし、互いに影響を与えることがないようにしなければならない」との見方を示している。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年12月1日
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