中国の科学者、スマート温度調節繊維を開発 「エアコン内蔵生地」の実現に期待

人民網日本語版 2026年03月18日16:16

炎天下でも自動的に熱を吸収し、常に涼しさを保つ服があったら――まるでSF映画のようだが、北京大学材料科学・工程学院の鄒如強教授チームはそれを現実のものにした。関連成果はこのほど学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」に掲載された。光明日報が伝えた。

この技術の立役者は、「相変化材料(PCM)」と呼ばれる不思議な物質だ。スマートウェアやパーソナル熱管理の分野において、PCMは革新的な熱管理ソリューションと広く認められている。例えば、ジムから出て体が熱くなっている時、すぐに室温22℃に保たれている部屋に入りたいと思うだろう。相変化繊維は、皮膚の周囲に「見えない温度制御室」を作り出すような役割を果たす。正確には、PCMの一つとして相変化繊維は温度変化を感知し、熱を自動的に調整できるスマート材料の一種だ。その真髄は、従来のように厚い綿で熱を閉じ込めたり、通気孔から熱を逃がしたりするのではなく、スポンジが水を吸うように熱を材料内部に吸収・蓄積し、必要に応じて放出する点にある。

鄒氏は、「材料に微量のカーボンナノチューブを添加している。髪の毛の10万分の1ほどの細さだが、『鉄筋』のように構造を支え、熱を素早く通過させる『高速道路』としても機能する。同時に、『3次元相互貫入ポリマーネットワーク』を構築し、熱の吸収・放出を担う相変化分子を正確に封じ込める。これにより、温度上昇で分子が溶融して流動しようとしても、ネットワーク内にしっかり固定され、一滴も漏れ出さない」と説明。

この技術は小さな工夫で驚くべき大きな効果を生み出した。研究チームが紡いだ相変化繊維は、単位重量当たりの蓄熱能力が同種材料のトップレベルに達している。さらに、この繊維は極めて柔軟で、元の長さの15倍に伸ばしても断裂しない。こうした高性能繊維は既存の業務用繊維設備と直接互換性があり、裁断・縫製・織布などの工程にもスムーズに対応でき、加工後の良品率は98%を超えるなど、産業化への道を切り開いた。

鄒氏は、「実際の温度調整効果を検証するため、チームは相変化繊維で衣類を製作し、さまざまな環境で実着用テストを実施した。真夏の正午にこの調温ベストを着用すると、一般的なポリエステル製ベストと比べて表面温度が最大8℃低下し、着用者は『真夏の日差しに焼かれるような背中の熱さが消え、ずっと日陰にいるような感覚だ』と評価した。さらに、この繊維は100回以上の融解・凝固サイクルという『極限疲労試験』を経ても、蓄熱性能の低下はほとんど見られず、安定性を維持した」と述べた。

現在、宇宙服からアウトドア用品、乳児用スリーピングバッグ、省エネカーテンに至るまで、相変化繊維は衣類を「受動的な保温」から「能動的な温度制御」を行うスマートシステムへと進化させている。(編集YF)

「人民網日本語版」2026年3月18日

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