軍事パレードで空を舞った風船8万個はどこへ?
北京市で今月3日午前に中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年記念行事の一環として行われた軍事パレードの最後には、平和の象徴であるハト8万羽が空に放たれたほか、カラフルな風船8万個が空を舞い、その圧巻の光景を多くの人が心に刻んだ。そんな中、多くのネットユーザーから、「風船8万個はどこにいったの?」や「環境への影響はないのだろうか?」といった声が上がっている。人民日報が伝えた。
空を舞った8万個の風船は、普通の風船とは大きく異なっている。風車・風船のメーカーである江蘇世傑塑膠科技有限公司の董振生総経理によると、今回、採用された風船の原料は、成分や生産工程の面で、一般的な風船とは大きく異なるのだという。一般的な風船は通常、天然ラテックスのほか、キュアリング剤や促進剤、抗酸化剤といった複数の種類の化学添加剤を混ぜて生産されていることがほとんどだ。今回の記念行事で放たれた風船は、天然の生分解性材料だけを使用し、その主な成分は、天然ラテックス、植物デンプン、トウモロコシやサトウキビといった植物を発酵させて作ったポリ乳酸(PLA)となっている。これらの材料はいずれも生分解性材料で、環境にやさしく、無害で自然環境において完全に分解できる。
そして、その一つ一つの小さな風船に使われている特殊な天然ラテックス材料は「無毒、無害で、刺激性がなく、生分解性、持続可能性を備えているという優位性がある。これらの風船には、前例のない原料や生産工程が採用された」という。
研究開発の過程で、研究開発チームは、新型生分解性材料を採用すると同時に、いかに風船に必要な気密性、引張強度、伸び率も維持するかいう難題にも直面したという。これらの性能に対する要求と、原料の生分解性という特性は、ある程度相容れない部分がある。この点について董総経理は、「研究開発チームは、実験と技術的難関攻略を繰り返したことで、最終的に、高い物理的性能を備えると同時に、高い生分解度も備えた風船を実現した。そして、環境にやさしい材料の実際の応用におけるキーテクノロジー上のボトルネックを打破した」という。
では、風船の生分解度はどれほどの高さとなっているのだろうか?今回の風船に使われている材料は、通常の日照環境下において、約1ヶ月後には、その表面が白亜化し始め、180日以内には60-70%分解され、1-1年半後には、水や二酸化炭素、有機質などに完全に分解されるため、永続的な汚染につながることはない。
企業の研究開発のほか、この分野の研究に力を入れている科学者もいる。関連分野の専門家によると、科学者はアルミ箔を使用せずに、気体に対する遮断性が天然ラテックスに近いバイオベース複合材料の研究を行っているという。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年9月9日
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