アートトイが盛り上げる「エモ消費」
「寝る前に心温まる話を聞かせて!」、「『先生』は英語で何と言うの?」、「レアバージョンが入っていなかったのでとても悲しい。どうしたらいい?」……。実は、これらは友達との気ままなトークではなく、AI搭載のプラッシュ・トイとの間で交わされているトークだ。
写真提供・新華社
こうした「話せる」ぬいぐるみは、広東省東莞市のアートトイブランド「娃三歳(ベイビー・スリー)」が打ち出した新商品だ。ふわふわ素材やあどけない外観のほか、大規模AIモデルが搭載されているため、言葉によるやり取りができ、スマートな「遊び相手」になれる点が目玉となっている。発売後間もなく、子供たちの心を鷲掴みにしたほか、多くの若者にとっても「遊び相手」になっている。
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都市の街中のアートトイショップは大勢の客でごった返し、ソーシャルメディアでは買ったばかりのアートトイを箱から出す様子を映した開封動画がアップされ、何が出てくるか分からないワクワク感がたまらないブラインドボックスが人気となり、中古市場ではアートトイが高値でやり取りされるなど、アートトイが近年、若者の間で大人気となり、その勢いは誰にも止められない状態になっている。「中国アートトイ・アニメ産業発展報告(2024)」によると、中国のアートトイ産業の市場規模は、2015年の63億元(1元は約20.8円)から、2023年には600億元に急拡大した。今後しばらくは20%以上のペースで成長し、市場規模は急成長を維持し、2026年には1101億元規模に達すると予想されている。
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アートトイの流行の背景にあるのは、若者の消費ロジックの変化だ。広州市社会科学院・広州文化産業研究センターの李明充・執行主任は、「以前は、何かを買う時、多くの人は『役に立つか』を重視していた。しかし、今は楽しさ、ストレス解消、アイデンティティ、癒しのためにお金を使うようになっている。若い世代は、高い情緒的価値や精神的満足度のためにお金を使うことを厭わない。アートトイは、抽象的な感情を『見える化』し、触れることができ、自慢でき、コレクションできるようにしている。そのため、若者が自分らしさを表現し、仲間から高く評価してもらうための『ソーシャル・カレンシー』になっている」と分析する。
エモ消費とエモ経済が現在、中国の消費市場を押し上げる新たな成長ポイントとなっている。「エモ消費台頭:2025年市場構造と未来の展望」によると、中国のエモ消費市場の規模は今年、2兆元の大台を超えると見られている。人気のエモ消費のジャンルはブラインドボックス経済やアートトイ市場などがある。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年7月16日
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