実験室を出て高齢者ケアの第一線で活躍し始めたウエルネスロボット

人民網日本語版 2025年08月06日10:21

歩行が不自由な高齢者の歩行を補助する外骨格アシストロボットや、高齢者の握力回復をサポートする手の機能カウンセリング・訓練一体機、AI音声を通して会話し、一人暮らしの高齢者が孤独を感じないようにサポートするスマート高齢者ケアロボットなどが7月29日、北京市経済技術開発区(亦荘)の「1万台ロボット革新的応用計画」応用シーンシリーズコンテストの第一弾となる「2025北京スマートウエルネスロボット応用コンテスト」に登場した。同コンテストでは、トップレベルの40チームが革新的な製品53種類を披露し、高齢化という世界的な課題に対応するべく、「中国智造(中国のスマート製造)」のソリューションを提供した。工人日報が伝えた。

ロボットの高齢者ケアサービスにおけるカウンセリング・訓練、介護、スマートコンパニオン、健康モニタリング、公共サービスという5大硬直的需要のシーンに焦点を合わせた今回のコンテストには、中国各地からリーディングカンパニーや最高峰の高等教育機関、科学研究院・所といったイノベーションの主体をカバーする40チームが出場。ハードウェア製造やソフトウェア開発、高齢者ケア運用といった産業の川上・川下をカバーするスマートウエルネスロボット53種類が披露された。

1等賞を獲得した北京大艾機器人(ロボット)有限公司は、外骨格アシストロボットの研究開発に尽力する企業で、今回は足底圧測定システムや下半身外骨格アシストロボットといった、高齢者の歩行をサポートする製品を披露した。同社の帥梅董事長は、「コンテストに参加することは、当社の市場における認知度やブランド競争力を高めることにつながり、的確なマッチングや応用の加速を促進することができる」とする。

ウエルネスロボットの分野は現在、発展模索のカギとなる段階に突入している。北京市は「デザイン・サービスを強化して、高齢者向けリフォームや産業発展を促進することに関する実施案(試行)」を発表。第一陣として高齢者向けにリフォームされた公共サンプルルーム9ヶ所の運用が始まった。ただ、健康モニタリングや移動アシスト、単純なレベルでの寄り添いといった基本的なシーンの初期段階の応用は実現しているものの、業界全体を見ると、複雑な環境への適応性、細やかな介護の水準、コスト制御といった面で、依然として改善の余地があり、技術の成熟度や市場における普及度が高まることが切実に必要とされる状態となっている。

北京経済開発区の関係責任者は、「こうした現状に合わせて、当区は今回のコンテストを開催した。実際の高齢者ケアニーズを出発点として、『使えるだけでなく、便利で、丈夫な』革新的な製品を掘りおこし、ウエルネスロボットが『実験室』を出て、『家庭』に入り、『概念実証』から『シーン応用』へとレベルアップさせるのが狙い。コンテストは競技の舞台であるだけでなく、産業エコロジカル共同構築の起点でもある。コンテストを通じて、研究、応用、生産を促進し、ロボット技術が実験室を出て、高齢者ケアの第一線で活躍するようバックアップし、革新的な成果が高齢者の実際の必要にマッチするようになることを願っている」とした。

中国民政部(省)や全国老齢活動委員会弁公室が発表した「2024年度国家老齢事業発展公報」によると、2024年末の時点で、中国の60歳以上の高齢者人口は3億1000万人で、総人口に占める割合は22%に達した。2035年前後に、その数は4億人、総人口に占める割合は30%以上に達すると見られている。シルバー族の高齢者ケアサービスに対する極めて大きなニーズは、ウエルネスロボットの市場に大きな発展の可能性をもたらしている。

方正証券研究センターのデータによると、近年、スマートロボットの高齢者ケアの分野における浸透率は高まるばかりで、2023年には市場の規模が250億元(1元は約20.5円)に達した。今後数年間は、高齢者ケアロボット市場の複合年間成長率 (CAGR)15%を維持し、2030年には、スマート高齢者ケアロボットの普及が実現し、市場規模は約660億元に達すると予想されている。

スマートウエルネスロボットの分野において、北京市亦荘は、多くの国家級重大特別科学研究任務を担当し、先頭に立って多くの高齢者ケアロボットの国際標準と国内標準を制定し、感情的な寄り添いやカウンセリングサポートといった分野のリーディングカンパニーを育成し、スマート介護や安全看護といった細分化された競争の場において画期的な成果を挙げ、一部の製品は既に医療機関で臨床応用が展開されている。(編集KN)

「人民網日本語版」2025年8月6日

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